写真テクニック中級編 | 風景写真家 落合勝博 ゆるブログ
撮影中に考えていること
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    今日は、撮影中に何を考え、何に気を付けているかを書いてみます。構図や露出の技術的な詳細は以前の記事を読み返してください。

    まず、撮影計画を立てる時は、自分が写したい被写体がどこにあり、いつ行けばいいのかを調べた上で、行き先を決めています。具体的な被写体というよりは、そういうものに巡り会えそうな場所を探しているというイメージです。この段階で仮の目標イメージを作っておきます。目標を持っておくことで、何を良いとするかの具体的な判定基準を得ることができ、撮影効率が上がります。ただしそれにこだわりすぎないことも重要で、思ったような撮影ができなかった時はさっさと頭を切り替えます。僕が参考書として愛用しているのは以前にも言っていますがカメラマンシリーズです。ガイド誌としても風景写真の教科書としても非常に良くできたシリーズだと今でも思っています。

    撮影地で被写体を探している時は、自分が全体として表現したいメッセージを表現できる被写体かどうかを気にしながら移動しています。ただし、それは主体であって、その他に気になるものが目についたら、立ち止まって(車を停めて)、表現したいことがその被写体にあるか検討を始めます。
    表現のメッセージ性について知りたい方は「ヴィジョン指向のススメ」などメッセージに関係する過去記事をどうぞ。

    モノになりそうだと直感したら、今度はどこからどういう風に構図を作ると効果的かを(可能な場合は)360度ぐるっと回ったり、近付いたり離れたり(基本は遠くから検討を始めて近付いていきます)しながら、被写体と背景の関係が良くなる場所を探します。この時にはライティングの方向も気にしながら、被写体を引き立てるライトと背景の関係を画角も含めて検討します。空をどのくらいの分量入れるかも重要です。その日の天候や雲の量、時間帯などによって、被写体との重量バランスを考えます。曇りや雨の日は白飛びを避けるため思い切って空を外す(少しだけなら残してもOK)必要もあります。
    そうしたことをからめて考えて、最も良い構図法を選択してフレーミングを決定します。日の丸構図の時もありますし、三分割法の時もあります。実は構図というのは視線誘導の仕組みが分かれば自分で作り出せるものなので、、、そこそこ以上のプロやハイアマチュアは、実際に日の丸構図だとか三分割法だとか考えないで、最も良い方法を時々に検討しているだけですが。
    構図について日の丸構図や三分割法以上の答えを必要としている方は「#3 主役を作り上げる〜教科書の次に読むノート」などを起点にシリーズを読み込んで見ると何か見つかるかもしれませんね。

    構図が決まったら、パンフォーカスするためのピント位置を決めて、ライブビューで拡大しながら、マニュアルでピント調整します。オートフォーカスしても良いですが、マニュアルフォーカスで合わせる方が意図した所にピッタリ来るので良い結果となることが多いです。特に広角で奥行きを表現する時に近い被写体と遠い背景がある状況では、自分でピントを合わせないとパンフォーカスできる状況が限られてきます。

    構図内に表現を弱めるものがないかライブビューで拡大表示も使いながら確認します。もしあった場合には、構図検討をやり直すことになります。場所を変える場合もあります。
    この時にしっかりと四隅に不要なものが写りこんでいないかも確認します。フォトコンの上級クラスと初級クラスが分かれていることが多いですが、その差はこういったディテールへのこだわりの差も大きいです。それなりのプロや上級クラスの常連は頭で分かっていることは全て出し惜しみなくやってきます。だから同じ場所で写しても全く異なるクオリティーで作品を創ることができるのだと思います。

    露出を決定します。これはデジタルの場合は簡単で、試写してみて、プレビューでヒストグラムを見て、白とびや黒つぶれがないか、十分な幅の山ができているかを確認します。白とびや黒つぶれがなくても、目的とする表現によって、明るすぎたり暗すぎたりするので、その時は露出を補正します。

    後はタイミングを待ちます。場合によっては雲の形が良くて形が崩れる前にすぐに写さなければならない時もありますし、逆に雲が風で流されてくる場所を予想しながら待つこともあります。夕景や朝景の場合は、そうなる前の余裕のある時間に構図まで決めてから1時間、2時間と待つことになります。
    このタイミングを待っている間に、実は色々なことに気付きます。例えば鳥が飛んできたり泳ぐ可能性に気付いたり。そうした時には元の構図を修正し、その動物を納める場所を確保して移動してくるのを待ちます。もちろん、ピントや露出はそれまでにやり直しておきます。

    空の状況によっては自動露出の結果がコロコロと変わって、意図しない明るさで撮影されてしまうことがあります。白い雲の量が多かったり、太陽が雲から出たり隠れたり忙しい時にそういうことが起こりやすくなります。そういう状況では、絞り優先モードで出た露出を覚えて、そのシャッター速度と絞り値をマニュアルモードに設定して露出を固定してしまいます。

    シャッターを切った後は、プレビューで望みの結果になっているか、再度、白とびや黒つぶれをチェックすると共に、パンフォーカスになっているか、被写体や背景の草が風でブレていないかを確認します。もし気に入らなければ、そしてもう一度写せるならば、写し直します。

    風は急には出てこないので、あらかじめ風の影響を考慮したシャッター速度になるように絞りを浅くとったり、ISO感度を高めるなどして待つこともあります。

    以上のように、色々なことを考えながら撮影しているのです。もし自分に足りていない所に今回一つでも気付いたら、参考になる部分は一つ一つ課題として確実に取り組んでみてください。全てをナチュラルにできるようになった時、きっと今までよりも一段も二段も上の表現ができるようになると思います。
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    周辺光量補正はしてはいけない
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      多くの現像ソフトに搭載され、最近ではカメラ本体にも追加された便利機能に「周辺光量補正」というものがあります。

      あれ、僕は基本的に使っていません。
      Canon EOS 5D mark IIに搭載された時はメーカーさんも頑張って宣伝していましたが、僕的には不要機能の代表となっています。

      ずっと以前に、「視線を惹きつける」写真を撮るために、構図として、どういうことを考えなければいけないのかを、「教科書の次に読むノート」というシリーズの中で延々と説明しました。その中で、写真の中心の話をしました。

      関連記事:
      「#2 私に何かを見せてくれ!〜教科書の次に読むノート」
      「#3 主役を作り上げる〜教科書の次に読むノート」

      これらの記事の中で、他の人が自分の写真をどう見るのかの視点を説明しました。
      この視点に反した写真は、何を表現しているのか分からないのでイライラするのだ、と書きました。

      「周辺光量補正」とは「画面の中心が明るいけれど画面の四隅が暗く写っている時に、四隅を中心と同じ明るさにしてあげるね!」というおせっかい機能です。
      僕が以前に書いた記事だと、どうしていましたか?わざわざ中心にしたい部分を明るいものにしていますよね。
      ということは、この機能は、それに反することをわざわざして視線を泳がせてしまう困った機能なんです。

      集合写真など特定の用途や模様のような均一表現を必要とする作品で、写真の中心と四隅が同じ明るさで写っている必要がある場合ですが、周辺光量補正で補正してしまうと、暗くて情報量の少ない部分を無理矢理明るく情報量の多い状況に引き上げるために、暗部のカラーノイズが見えやすくなってしまいます。そしてそれを消すために今度は「ノイズ軽減」を使うわけですが、それで画面全体のシャープさが損なわれてしまうという、、、まさにダメ機能なわけです。

      そういう意図が最初からあり、四隅まで均一な明るさの写真が欲しいのでしたら、最初の撮影段階で、F8やF11まで絞って撮影すれば事無きを得ます。周辺光量が足りなくなるのは、絞り足りないからです。F4やF5.6程度の浅い絞りで写せば必ず周辺光量は落ちます。

      ただし、F11を越えると多くのレンズでは回析現象が顕著になるため画面にシャープさがなくなります。ですから、周辺光量を落とさず、なおかつシャープに写すには、F8からF11ぐらいが適切な絞り値となります。

      僕の場合、周辺光量を落としたままパンフォーカスしたいこともあるので、そんな時は明るい被写体が真ん中に寄るように暗い周辺環境まで取り込んだ当初より広い構図に整え直すということもやります。
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      マニュアル撮影モードの使いどころ
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        先の記事「風景写真を撮るためのカメラ設定」で、風景写真の設定では、絞り優先が基本であることを書きました。

        では、他の撮影モードは必要ないのか、ということになります。

        結論から言えば、使う時があります。

        比率的には、

        絞り優先:マニュアル:シャッター優先=95:4:1

        、、、くらいの比率ですが。

        シャッター優先は、どうしてもこのスピードでないとダメな時、つまり動く被写体をピタッ!と止めて撮影したい時に使います。例えば、鳥の撮影とか、運動会の撮影とかでどうしてもそうしたいならば、使います。

        マニュアル使用は、僕の場合、3つのケースがあります。

        1つめは、星の撮影の時。星の撮影ではリモコンで設定できる30秒を大きく超えて露光時間が必要となります。時には1時間以上に及びますから、基本的に絞り優先ではシャッター速度が足りないのです。

        2つめは、絞り優先で撮影しているけれども、被写体があまりにも明るすぎて、あるいは暗すぎて、使っている露出補正(EV)の限界値を超えてしまう時。今、メインで使っているCanon EOS 5D mark IIの場合、露出補正できるのは±2段階までです。すると、2段階を超えて明るいシーンや暗いシーンは、必ず白飛びか黒つぶれかが発生してしまいます。
        この時に、それ以上の補正をするために、それまでの絞り優先の時の絞り値とシャッター速度でマニュアルに設定してから、必要なだけシャッター速度を上下させていきます。

        3つめは、絞り優先で撮影しているけれども、太陽光が雲に隠れたり出たりで忙しく明るさが変わってしまうのを避けるため、一度決めた露出で固定してしまいたい時。この時も、これで行く!と決めた絞り優先で決まった絞り値とシャッター速度をマニュアルに設定して撮影を続けます。太陽待ちとか逆に雲待ちの時の状況で使います。

        ちなみに、2の問題は、ライブビューで撮影する時は解決する別の方法があります。ライブビューの時の露出は、多くのカメラでフォーカスしている四角の範囲で露出を決定するため、明るい部分にピントを合わせる時は画面全体とは無関係に暗く露出され、逆に暗い部分にピントを合わせる時は画面全体とは無関係に明るく露出計算されます。ということは、今ピントを合わせている部分で露出補正が足りない場合は、それよりも明るいか逆に暗い部分にフォーカスポイントを移動させてしまえば、そこの明るさに露出補正されてしまうということなんです。
        僕がよくやるのは、輪郭をシャープに出したい部分でピントを合わせてから、白飛びしそうな所にフォーカスポイントを移動させピントは前のままで露出補正を操作する方法。
        これだとマニュアル撮影モードに移行しなくても、そのまま露出補正の幅を大きく変えることができるわけです。

        フィルムで始めた人はマニュアル撮影をすることで上達する、と言っている人もいますが、言われてみて実際にそうしてみた僕の経験では、、、多少は役に立つけれども修行するほどの時間的価値はない、と思いました。
        すでに時代はデジタルなので、デジタル技術をどうやって上手く使いこなすか、そちらに神経を集中させた方が時間効率の観点では多分お得です。
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        パンフォーカスの方法(理論)
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          一つ前の記事で、パンフォーカスを得るためのピントの位置については分かりましたね。

          では、パンフォーカスを得るための絞りはどのくらいあったら良いのでしょうか?

          絞りは、絞れば絞るほど広い範囲にピントを合わせることができます(=これを、写真では、被写界深度が深い、と言います)。F4よりもF8、F8よりもF11、F11よりもF22の方が被写界深度は深くなり、パンフォーカスを得やすくなります。

          パンフォーカスの理論、絞り

          では、いつでもF22で撮影すればいいじゃないか、というのは当然の考えですね。ところが僕は先の記事でF11を基準にすべきだと書きました。、、、なぜでしょうか?

          それは、「レンズのキレ」と「過焦点距離」と「回析現象」の3つのバランスが最も良い絞りだからです。

          まず、レンズの特性として、開放F値は実用性能上の最小絞り値とはなりません。もやっとした感じに写さないためには最低でも1絞り、あるいは2絞り、絞る必要があります。そして、レンズにもよりますが、もっともシャープに写る絞りはF8からF11の間に来ることが多いのです。これがまず第一の理由。

          次に過焦点距離ですが、これは、ある焦点距離以上では、そのピントで無限遠までピントが同時に合いますよ、という距離。これはレンズの焦点距離と絞りに影響を受けます。レンズの焦点距離が短ければ短いほどピントが合う範囲は広くなり(=被写界深度が深くなる)、絞れば絞るほどピントが合う範囲は広くなります(=被写界深度が深くなる)。こういった関係があるわけです。つまり、28mmのレンズよりも16mmのレンズの方が被写界深度は深いので近い所から遠い所までパンフォーカスを得やすくなります。28mmで16mmのレンズと同じ被写界深度を得ようとすれば、16mmのレンズよりも余計に絞らなければいけなくなります。

          最後に回析現象です。F11よりも絞っていくと、ピントは合っていても、その範囲にあるものの境界線がぼやけていきます。これがデジタルカメラで発生することが多い回析現象というもの。F11では出ないのですが、それよりも絞ると、だんだんと回析現象を起こして、ピントが合っている範囲に被写体が収まっていても、像がぼやけていきます。

          このような理由により、F11で写すのが最適になることが多いのです。

          中級者以上の人に、よく理解しておいて欲しいことは、過焦点距離の部分。
          その計算方法は。

          過焦点距離の計算方法

          数値の部分はフルサイズの場合。
          この計算式で計算すると、フルサイズのデジカメで16mmの焦点距離でF11に絞った場合、

          過焦点距離(16mm、F11)≒70cm

          となります。ということは、ピントを合わせる場所まで70cm離れていれば、無限遠までのパンフォーカスが得られるということです。実際にはピントを合わせる場所から最も近い被写体(手前)はより近いわけですから、この過焦点距離よりも近い被写体から無限遠までピントは合います。絞った場合、F22の場合は35cmピント位置まで離れていればパンフォーカス。35cmっていうのはパンフォーカスをしたい状況ではあまりないと思うので、だいたいF11で足りるわけです。

          これが、28mmでF11の場合には、2.14mになります。かなり厳しくなりますね。F22まで絞れば1.07mまで縮まります。F32まで絞れば74cm。ここまで絞ると回析現象が激しくなってくるので絞りはF22程度までで抑えて、少し離れた方が良いでしょうね。

          では35mmでF11では?…3.35mまで広がります。ここまで焦点距離が大きくなるともう回析現象は無視して絞らざるを得ない状況になっていきます。F22まで絞ると1.67m。F32では1.15m。

          50mmでF11は6.8m。F22で3.4m。F32で2.35m。だんだん近くを写すのを諦めるか回析現象を諦めるかの2択色が強まってきていますね。

          これが、100mmまで来てしまうと、F11で27.3m。F22でも13.7m。もう絶対近くのものを前景においてはいけないことが分かります。

          ちなみに、これらはフルサイズの計算の場合。KissやD70などのAPS-Cの場合は、Kissの場合で数値0.0333の代わりに1.6で割った0.0208を、D70とかだったら1.5で割った0.0222を、フォーサーズの場合は2で割った0.0167を使います。センサーサイズが違うので若干計算結果が変わります。コンデジがボケにくい理由は、このセンサーサイズの違いによる過焦点距離の差にあります。近くから無限遠まで簡単にピントが合うのですね。逆に言うと、パンフォーカスしたければ小さいセンサーサイズのデジカメを使う方が有利ということです。中判カメラではF22でないとダメな距離でもデジカメならフルサイズでF11でもいけてしまう理由でもあります。

          計算してみると分かりますが、もしKissで10mmのレンズ(=35mm判換算で16mmに相当)を使って、F11に絞った場合、44cmで過焦点距離を得られちゃうわけです。フルサイズの16mmレンズと同じ過焦点距離70cmを得るためにはF7.1で済んでしまいます。E-P1などのフォーサーズだったら、8mmのレンズ(=35mm判換算で16mmに相当)を使った場合、F5.6でフルサイズのF11と同等のパンフォーカスを得られてしまいます。
          、、、それだけあれば風の時にシャッタースピードを稼げますし、なんかちょっとずるいですね。(笑)
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          奥入瀬渓流の画家「小林孝男」さんから教わったリアリティの表現方法
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            今日は写真の表現方法について、2009年から2010年にかけて「奥入瀬渓流詣で」をしていた頃に分かったことについてお話しようと思います。

            僕は、写真を始めておおよそ3年ぐらいの間には、写真の教科書と西洋絵画(における風景画)をお手本にしたり研究したりして、自分なりの構図法というものを作り上げてきました。そこには、三分割法や黄金分割法によるバランスを重視したものと、日本画や山水画にある「間(ま)」を重視したものでした。これらに共通するのは、「おさまりの良い」風景配置とはどのようなものかを追求するものであったということです。

            「写真は引き算」とは、教科書にもたびたび出現する言葉で、いかに「主題」を殺す「不要な解釈」をする「たまたま入ってしまった」要素を減らすか、ということが、フォトコンテストにおける上位入選の鍵を握っていたりもします。

            しかし、ズームレンズ全盛のデジタルカメラ時代では、「引き算」という言葉が一人歩きしてしまい、「リアリティ」を表現の一つとする風景写真の本来の姿全てを表していないのではないか、というのが、「奥入瀬渓流詣で」で気付いたことの一つでした。

            奥入瀬渓流の下流には「奥入瀬渓流館」という、物産コーナーとカフェと催し物会場を兼ねた施設があります。そこで、地元で奥入瀬を描き続けている「小林孝男」さんの作品展と出会ったのが、この気づきのきっかけでした。小林さんの描く奥入瀬は、実に柔らかくふわふわとして繊細で、私は魅入られてしまいました。それで、隅から隅まで作品を何度も見直すうちに、ふと、一つのことに気付きました。「この作品には、写真だったら必ず外したい枝が『わざわざ』描かれている」のです。なぜ描く必然性のなさそうな絵画で、そんなリアリティにこだわるのか?どうしても僕は気になって、そこにいた小林さんに問うてみたのです。「この枝はなぜ必要なのですか?」と。そうすると小林さんはこうおっしゃいました。「奥入瀬は、常に倒木があり、毎年同じ景色ではない。私はその違いを描きたいのです」と。あれから時間も経っていますし、多少違っているかもしれませんが、だいたいこんなようなことをおっしゃっていたと思います。僕は、その言葉を聞いて、「風景のリアリティとは、キレイに見せるだけではダメだ。その時に見たこと、感じたこと、その時にしか写せないものを写していないとダメだ。」と思いました。それからは、意図して、枝を入れてみるような試みにチャレンジしました。今では、手前に枝があろうがなかろうが、必要ならば入れてもいいや、という風になってきました。その場のリアリティが増すという効果があるためです。

            清々風々、奥入瀬渓流、小林孝男、リアリティを追求する構図法、落合勝博そうして、創ったのが、この構図法に基づく「清々風々」。左上に枝を入れているのですが、これはわざと。実を言えば抜いてもほとんど問題はないですし、抜くことは難しくはなかったのですが、検討の結果、あえて入れています。この枝により、枝が多い奥入瀬の現実と、奥行き感のある構図の2つの効果を取り入れているのです。


            ふるさとの薫り、小林孝男、リアリティを追求する構図法、落合勝博この考え方で撮ったのが、先日の「ふるさとの薫り」。画面左の太い幹は、入れたくない、というのがたいていの風景写真家の葛藤だと思うのですが、リアリティや奥行きということを考えると、この幹はむしろ入っていることで画面が引き締まっているのではないかと僕は思っています。


            ただし、注意点が一つ。
            何でも入れればいいというわけではなくて、あくまで検討した結果として、その枝を入れた方がいい、という場合にのみ有効な手法だということです。テキトーに「入っちゃった」ものは、やっぱり「入っちゃった」んだなと見る人には分かるもの。そこには手を抜いてはいけません。
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             ー 横浜市在住のアマチュア風景写真家
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