奥入瀬渓流の画家「小林孝男」さんから教わったリアリティの表現方法 | 風景写真家 落合勝博 ゆるブログ
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奥入瀬渓流の画家「小林孝男」さんから教わったリアリティの表現方法
category: 写真テクニック中級編
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    今日は写真の表現方法について、2009年から2010年にかけて「奥入瀬渓流詣で」をしていた頃に分かったことについてお話しようと思います。

    僕は、写真を始めておおよそ3年ぐらいの間には、写真の教科書と西洋絵画(における風景画)をお手本にしたり研究したりして、自分なりの構図法というものを作り上げてきました。そこには、三分割法や黄金分割法によるバランスを重視したものと、日本画や山水画にある「間(ま)」を重視したものでした。これらに共通するのは、「おさまりの良い」風景配置とはどのようなものかを追求するものであったということです。

    「写真は引き算」とは、教科書にもたびたび出現する言葉で、いかに「主題」を殺す「不要な解釈」をする「たまたま入ってしまった」要素を減らすか、ということが、フォトコンテストにおける上位入選の鍵を握っていたりもします。

    しかし、ズームレンズ全盛のデジタルカメラ時代では、「引き算」という言葉が一人歩きしてしまい、「リアリティ」を表現の一つとする風景写真の本来の姿全てを表していないのではないか、というのが、「奥入瀬渓流詣で」で気付いたことの一つでした。

    奥入瀬渓流の下流には「奥入瀬渓流館」という、物産コーナーとカフェと催し物会場を兼ねた施設があります。そこで、地元で奥入瀬を描き続けている「小林孝男」さんの作品展と出会ったのが、この気づきのきっかけでした。小林さんの描く奥入瀬は、実に柔らかくふわふわとして繊細で、私は魅入られてしまいました。それで、隅から隅まで作品を何度も見直すうちに、ふと、一つのことに気付きました。「この作品には、写真だったら必ず外したい枝が『わざわざ』描かれている」のです。なぜ描く必然性のなさそうな絵画で、そんなリアリティにこだわるのか?どうしても僕は気になって、そこにいた小林さんに問うてみたのです。「この枝はなぜ必要なのですか?」と。そうすると小林さんはこうおっしゃいました。「奥入瀬は、常に倒木があり、毎年同じ景色ではない。私はその違いを描きたいのです」と。あれから時間も経っていますし、多少違っているかもしれませんが、だいたいこんなようなことをおっしゃっていたと思います。僕は、その言葉を聞いて、「風景のリアリティとは、キレイに見せるだけではダメだ。その時に見たこと、感じたこと、その時にしか写せないものを写していないとダメだ。」と思いました。それからは、意図して、枝を入れてみるような試みにチャレンジしました。今では、手前に枝があろうがなかろうが、必要ならば入れてもいいや、という風になってきました。その場のリアリティが増すという効果があるためです。

    清々風々、奥入瀬渓流、小林孝男、リアリティを追求する構図法、落合勝博そうして、創ったのが、この構図法に基づく「清々風々」。左上に枝を入れているのですが、これはわざと。実を言えば抜いてもほとんど問題はないですし、抜くことは難しくはなかったのですが、検討の結果、あえて入れています。この枝により、枝が多い奥入瀬の現実と、奥行き感のある構図の2つの効果を取り入れているのです。


    ふるさとの薫り、小林孝男、リアリティを追求する構図法、落合勝博この考え方で撮ったのが、先日の「ふるさとの薫り」。画面左の太い幹は、入れたくない、というのがたいていの風景写真家の葛藤だと思うのですが、リアリティや奥行きということを考えると、この幹はむしろ入っていることで画面が引き締まっているのではないかと僕は思っています。


    ただし、注意点が一つ。
    何でも入れればいいというわけではなくて、あくまで検討した結果として、その枝を入れた方がいい、という場合にのみ有効な手法だということです。テキトーに「入っちゃった」ものは、やっぱり「入っちゃった」んだなと見る人には分かるもの。そこには手を抜いてはいけません。
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