パンフォーカスの方法(理論) | 風景写真家 落合勝博 ゆるブログ
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パンフォーカスの方法(理論)
category: 写真テクニック中級編
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    一つ前の記事で、パンフォーカスを得るためのピントの位置については分かりましたね。

    では、パンフォーカスを得るための絞りはどのくらいあったら良いのでしょうか?

    絞りは、絞れば絞るほど広い範囲にピントを合わせることができます(=これを、写真では、被写界深度が深い、と言います)。F4よりもF8、F8よりもF11、F11よりもF22の方が被写界深度は深くなり、パンフォーカスを得やすくなります。

    パンフォーカスの理論、絞り

    では、いつでもF22で撮影すればいいじゃないか、というのは当然の考えですね。ところが僕は先の記事でF11を基準にすべきだと書きました。、、、なぜでしょうか?

    それは、「レンズのキレ」と「過焦点距離」と「回析現象」の3つのバランスが最も良い絞りだからです。

    まず、レンズの特性として、開放F値は実用性能上の最小絞り値とはなりません。もやっとした感じに写さないためには最低でも1絞り、あるいは2絞り、絞る必要があります。そして、レンズにもよりますが、もっともシャープに写る絞りはF8からF11の間に来ることが多いのです。これがまず第一の理由。

    次に過焦点距離ですが、これは、ある焦点距離以上では、そのピントで無限遠までピントが同時に合いますよ、という距離。これはレンズの焦点距離と絞りに影響を受けます。レンズの焦点距離が短ければ短いほどピントが合う範囲は広くなり(=被写界深度が深くなる)、絞れば絞るほどピントが合う範囲は広くなります(=被写界深度が深くなる)。こういった関係があるわけです。つまり、28mmのレンズよりも16mmのレンズの方が被写界深度は深いので近い所から遠い所までパンフォーカスを得やすくなります。28mmで16mmのレンズと同じ被写界深度を得ようとすれば、16mmのレンズよりも余計に絞らなければいけなくなります。

    最後に回析現象です。F11よりも絞っていくと、ピントは合っていても、その範囲にあるものの境界線がぼやけていきます。これがデジタルカメラで発生することが多い回析現象というもの。F11では出ないのですが、それよりも絞ると、だんだんと回析現象を起こして、ピントが合っている範囲に被写体が収まっていても、像がぼやけていきます。

    このような理由により、F11で写すのが最適になることが多いのです。

    中級者以上の人に、よく理解しておいて欲しいことは、過焦点距離の部分。
    その計算方法は。

    過焦点距離の計算方法

    数値の部分はフルサイズの場合。
    この計算式で計算すると、フルサイズのデジカメで16mmの焦点距離でF11に絞った場合、

    過焦点距離(16mm、F11)≒70cm

    となります。ということは、ピントを合わせる場所まで70cm離れていれば、無限遠までのパンフォーカスが得られるということです。実際にはピントを合わせる場所から最も近い被写体(手前)はより近いわけですから、この過焦点距離よりも近い被写体から無限遠までピントは合います。絞った場合、F22の場合は35cmピント位置まで離れていればパンフォーカス。35cmっていうのはパンフォーカスをしたい状況ではあまりないと思うので、だいたいF11で足りるわけです。

    これが、28mmでF11の場合には、2.14mになります。かなり厳しくなりますね。F22まで絞れば1.07mまで縮まります。F32まで絞れば74cm。ここまで絞ると回析現象が激しくなってくるので絞りはF22程度までで抑えて、少し離れた方が良いでしょうね。

    では35mmでF11では?…3.35mまで広がります。ここまで焦点距離が大きくなるともう回析現象は無視して絞らざるを得ない状況になっていきます。F22まで絞ると1.67m。F32では1.15m。

    50mmでF11は6.8m。F22で3.4m。F32で2.35m。だんだん近くを写すのを諦めるか回析現象を諦めるかの2択色が強まってきていますね。

    これが、100mmまで来てしまうと、F11で27.3m。F22でも13.7m。もう絶対近くのものを前景においてはいけないことが分かります。

    ちなみに、これらはフルサイズの計算の場合。KissやD70などのAPS-Cの場合は、Kissの場合で数値0.0333の代わりに1.6で割った0.0208を、D70とかだったら1.5で割った0.0222を、フォーサーズの場合は2で割った0.0167を使います。センサーサイズが違うので若干計算結果が変わります。コンデジがボケにくい理由は、このセンサーサイズの違いによる過焦点距離の差にあります。近くから無限遠まで簡単にピントが合うのですね。逆に言うと、パンフォーカスしたければ小さいセンサーサイズのデジカメを使う方が有利ということです。中判カメラではF22でないとダメな距離でもデジカメならフルサイズでF11でもいけてしまう理由でもあります。

    計算してみると分かりますが、もしKissで10mmのレンズ(=35mm判換算で16mmに相当)を使って、F11に絞った場合、44cmで過焦点距離を得られちゃうわけです。フルサイズの16mmレンズと同じ過焦点距離70cmを得るためにはF7.1で済んでしまいます。E-P1などのフォーサーズだったら、8mmのレンズ(=35mm判換算で16mmに相当)を使った場合、F5.6でフルサイズのF11と同等のパンフォーカスを得られてしまいます。
    、、、それだけあれば風の時にシャッタースピードを稼げますし、なんかちょっとずるいですね。(笑)
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    Comment.
    初めまして。たいへんためになりました。そうすると、例えば望遠の200ミリなどで山の上から遠く(1km以上先)の夕景を撮る場合など、開放から少し絞るだけで十分だということなんですね。これまで遠景=とりあえずf16としてました。
    2017/06/13 3:54 AM, from 通りがかり
    その通りです。
    実際に星景写真を撮る場合、絞りは開放付近でも、フォーカス位置が若干適当でも、パンフォーカスが得られます。とはいえ開放付近はやや甘く写ってしまうので、2絞りぐらいが多くのレンズでは必要です。よくカメラ雑誌で開放の写りを気にしているのは、このキレのためです。キレについてはポートレート撮影でよりシビアになります。まつげがシャープに写ると全体がシャープに見えるので、ピント位置、被写界深度を含めて気にするポイントです。風景の場合、光源を入れる時は、絞った方がキレイな放射線が得られるので、やはりf11ぐらいはあった方がよいです。この辺、撮影したい表現と関係してきます。表現として、キレが甘い方が良い場合もありますので。。。
    2017/06/13 11:24 PM, from 落合勝博
    なるほど。重ね重ね、ありがとうございます!
    2017/06/14 12:28 AM, from 通りがかり
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