- 半年ぶりの荒波ダイビングで初めて水中でゾーンに入れた日
- 2012.08.26 Sunday
- category: ダイビング
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最後に潜ったのは今年の2月18日。
途中、減圧症の疑いで背筋痛が3ヶ月続いたり、地元の蛍撮影の帰り道にアホみたいな理由で左手を全指突き指したり(ブログでは未報告)、そもそも春から夏にかけては陸上風景に撮るものが多い季節だったりで、すっかりダイビングとは無縁な生活を送っていました。
1週間前まで北海道の撮影旅行をしていたこともあって、夏っぽい陸上風景はそれなりに撮ってしまったという一時的な満足感で今週はどこに写しに行けばいいか思い浮かばず(^_^;)
まだ行っていない山梨県の西沢渓谷に行ってみたいなと思ったのですが、駐車場から2時間歩くので、天気の良い日に行ってしまうと、早朝に駐車場に着いたとしても歩いている間に日が差して、滝壺が白く飛びそうと思い、天気の悪い日(曇りか小雨)に行くことにしよう、と思いとどまり。
そういえば北海道旅行では当初潜ろうと思っていた支笏湖ダイビングができなかったので、できれば今シーズンのうちにもう一度支笏湖を訪れたいな、、、と思い始め。
というようなバックグラウンドで、半年もさぼってしまったダイビングのリハビリが必要か、ということになって、毎度おなじみ東伊豆のIOPに行ってきました。
これまでのダイビング本数は73本ですが、実は夏に潜るのは初めてなんですよね。
だって、始めたのが去年の9月30日。
もう夏が終わってましたもん。
IOPの気温31℃、海水温は26℃。
風が少しあって日陰では案外涼しいけれど、そこから出ると、、、汗で顔を洗えるぞ、と(^_^;;;)
冬と違って水着のおねーさん(^^)/お客さんがいっぱいだなと。7月、8月はダイビングのオンシーズンなので、当然なんですけれどね。それ以外にも、冬は閉鎖されていた海水プールに人がいっぱいいて、初めて見る光景に新鮮な気持ちを抱きました。あいかわらず波は高かったですが。ホントは夏のIOPは冬ほど波が高くないはずなのですが、昨日は沖縄を通過中の台風の影響で波浪注意報が出ているほどだったので。
実際に、午後の早い時間に一回、エントリーが禁止されました。ほどなく解除されましたが。
で、お世話になっているルビーナさんにも、お客さんがいっぱいいて、なんとファンダイビングと体験ダイビングをあわせて20人以上。普通の家を改装したようなお店の玄関に全てのサンダルが入らない!こちらも初めて見る光景で新鮮。オーナーの身体が冬と違って明らかに黒くなって、しかも引き締まっている!お客さんがたくさんいて毎日潜れてるから当然なんですが、こっちも新鮮でした(^_^;)
冬に来ていた頃は、僕が来ないとお客さんがいない、、、というような状態で、オーナーも全然潜ってなかったし。僕も他のお客さんと一緒だと、なんか変に嬉しかったり。(^_^;)
で、そのお客さんがいっぱいのため、海に入るまで手間取っていて、冬のマンツーマンの時だったら10時半にはエントリーできていたのに、入ったのは11時半を回った頃。
しかも、借りたウェットスーツがピッタリすぎてお腹周りが苦しい!(^_^;)
しかも手間取っているものだから、その苦しい時間がずっと続いていて、エントリー前には、すでにぐったりして息もたえだえ。潜る体力が残ってるかなとエントリー直前には不安に思っていました。
エントリー口には、台風のおかげで身長を超える波が押し寄せてきていて。冬のIOPはいつもこんな感じって言えばこんな感じだったので、すでに恐怖感はないのですが、それなりにストレスはあります。この日のお客さんは経験本数の少ない人が多くて、IOPは初めてという人がほとんど。こんな海に入ること自体、不安だろうな、と人のことを心配できる余裕があることに気付いて、ちょっと安心できました。
高波が身体を洗っていった後の空白時間にエントリー。こんなに波が出てるとサーフィンができちゃうぞ、と。入る前から息苦しかったので当然エントリー直後は息が苦しくて。水面移動の間は波は高かったですが、レギュレータを外して(太いので呼吸が楽な)シュノーケルを使っていました。潜行する時にレギュレータに咥え直して潜ろうとすると、自然に沈まない!これはウェイトが足りなかったな、と。仕方なくヘッドファーストで手も使って強引に潜ってみると、5mくらいで浮く力が相殺されました。ダイビングをしたことがないと分からないかもしれませんが、水深が深くなるとウェットスーツに含まれている気泡が水圧で潰れて重くなるので、多少ウェイトが足りなくてもちょっと強引に潜ってしまえば案外いけてしまうものなのです。この辺、数々の失敗をやらかしてきた経験値が生きて冷静に対処できていることに、また安堵感。なんとかやれそうな感じ。
ウェイトが不足気味だったことも手伝って、久しぶりのフリー潜行もバッチリ(?)決まって、海底には着底せずに集合場所に漂うこともでき。下手だとフリー潜行ができないし、中性浮力をとるのが下手なので絶対に着底することになるので、、、なんとかMSDの面目が保たれました(笑)
ただ、潜り始めた直後は、以前にどのくらいのペースで呼吸していたのかを全く思い出せず、意識的に呼吸の回数を抑えてみて、1分くらいは結構苦しかったです。その後は自分でも驚くほどエア消費が少なくてたまに残圧計を見てビックリしていました(エア消費の計算方法は過去記事を参照)。
久々の海の中は、暑くもなく、寒くもなく、すごく快適でした。地上ではかなり苦しかった2ピースのウェットスーツのおかげかなぁ。一度潜ってしまえば、身体が水圧で少し凹むので、地上で感じた息苦しさもなくなって、すごく快適。重力から解放されて、自分が思うように動けます。地上で可能な前後左右の動きに上下と回転が可能になるので。水中では息を吸えば上昇し吐けば下降するという、中性浮力をマスターしているダイバーならアタリマエのことにも、ちょっと新鮮味がありました。
呼吸が自然にできることを確認した後は、ウェイト代わりに持ってきたカメラを熱心に撮る気もなかったので、ダイブコンピュータで息のタイミングと水深がちゃんと連動しているかを確認してBCDのエア注入量を微妙に調整したり、あとはただふわふわ漂っているだけの時間。久しぶりだったからなのか、それとも、半年前までの経験分も含めて海に慣れてきて一線を越えちゃったからなのか分かりませんが、今まで以上に海と一体になっている感覚を感じる自分に少し驚きました。ただ自然に自分がそこにいる感覚というのか。イントラが合図すれば付いていくし、魚がいればそっちをちょっと見る、そういう反応はするのだけれど、それ以外は、呼吸だけで中性浮力はほとんど無意識に取っているので、何も考えずにボーッとして世界を知覚しているというか、これが「無」というものかなと。その時の自分の状態に海の中で驚いていました。
今、思い返してみると、僕の場合、地上で撮影している時に、いつのまにかゾーンに入ってしまうことがあるのですが、その感覚に近かったかも、と。撮影中にゾーンに入ると、写そうとしている状況はすごく良く理解できているし、自分が何を待っているのかとか、背中の方から手前に現れるような見えない雲の流れの変化をどう取り込もうかとか、ちゃんと理解してシャッターを押すタイミングを待っているのに、それ以外のことが念頭から消えてしまうんです。知覚はできるし必要ならば何か対処もできるのですが、ただ、そこに心がとらわれない自由な状態になります。すごく自然体になるというか。もっとも、風景写真の場合は待つ時間が長いため、ゾーンに入っている時間が長くなると、まれに呼吸を忘れていることがあって、ゾーンが解けた時に苦しかったり痛かったりして地面に転がってしまうことがあったり(冷汗)。
知らない人のために説明しておくと、ゾーンとは、極度に集中力が高まった時に自分自身とその時に集中している対象物以外のものの認識がぼやけて一切のノイズがなくなり、やりとげようとしていることに完全に没頭できていて、状況の変化に機敏に対応できる自然体の状態、のことです。今のところ科学的な根拠がない現象なので、、、少なくとも僕は自分自身の状態をそう理解しています。スポーツ漫画ではその選手の特殊な能力であり武器の一つとして描写されることがあります。僕も自分が集中力が高い方だという自覚は中学の頃からありましたが、写真以外では今までにゾーンまで到達できたことはなかったので、人によってゾーンに入れる対象に向き/不向きがあるのかもしれません。
ダイビングの呼吸って、今さらながらよく考えてみると、ゆっくり深くが基本なので、ヨガや禅の瞑想法や武術の丹田呼吸法に近いです。水中では吸い過ぎにならないよう呼吸の回数を意識して抑えているので、自然に瞑想状態に入れちゃったのかも。そうしないとエア持ちが悪い上に、空気の吸い過ぎで頭が痛くなったりもするので。同じ条件で今まで水中でゾーンに入れなかったのは、おそらく意識して呼吸しないといけない状態だったり、無理に意識して抑えすぎたり、写真を撮ろうとして浮いていること以外のことを色々考えていたからかもしれませんね。地上では、ゾーンに入っている状態で撮った作品の平均レベルはその他の時の平均レベルを明らかに上まわるので、可能ならば全ての撮影でゾーンに入るのが望ましいわけです。でも、意識すると入れないんですよね。
話を戻すと。イントラは一生懸命、魚の名前をボードに書いて、岩の隙間でおいでおいでしてくれていました。僕はバードウォッチングでもそうだったのですが「レアもの」という言葉に特に感じるものはないので、、、しかも、あまり熱心に魚の名前を覚える気もないし。というわけで、その辺を漂っているだけ。アジの大群が浅瀬を漂っていて太陽で光ってキレイだなぁとか、自分の状態の観察に熱心だったりで、そっちの方が面白くて。
さて、楽しかったゾーン状態も終わり、体内から窒素を抜くために4~5mの浅瀬に移動して安全停止。エアタンクにはまだたっぷり空気が残っていましたが、それでも入った時の半分くらいだったので多分1kg弱は減ったはず。というわけで、再び浮き上がりそうになるのを吐き気味の呼吸で肺の空気を少なくして浮力を減らしなんとか海底に踏みとどまり(^_^;)
その後は踏みとどまる努力が面倒になってきたので、海面に浮かびあがってそのままふらふら波の命じるままに漂って他の人達が魚を見ているのを見守ることにしました。ただ、そのままだとエグジット口まで海面移動になって疲れるので(水中移動より海面移動の方がかなり疲れるのです)、仕方なく再び4mくらいに無理矢理潜ってエグジット口に移動。波のおかげで海中のうねりもすごい!冬のIOPではいつもそうだったのですが、潮が満ちる時は一気に進むのですが、潮が引く時は一気に戻されて移動分を帳消しにされる!(^_^;)
それに抵抗するためにフィンを細かく制御していたら普段使わない足の裏がつりそうになったので、エグジットの地上まで水中から続くロープに全力でダッシュ!後は手と波の力だけで戻ることにしました。水面まで来ると、いつもはいないはずのスタッフ(?)3名が「立ち止まらないで!」と誘導したり助けたりしています。この波のせいで出動した様子。
エグジットした後、エアタンクの交換をする段になって、僕は「今日は1本で止めます」宣言をしました。なんか、今日はもう一度潜っちゃいけないような気がして。多分、お昼を食べてゆっくり休めば体力も回復して潜れたのだろうし、実際に、ふくらはぎがつっても3本潜ったこともありましたが、何故かこの時は、半年ぶりのリハビリ目的で来ているんだから無理しないぞっていう気になって。1本でやめたのは初めてでした。
それで、頼んでおいたIOPの仕出し弁当を食べて、後は冷たいシャワーを何度も浴びて身体を冷やしたり、海際に点在するベンチに寝そべって白い(?)お腹を焼いたりして、のんびり海の休日を過ごすことに。みんなと一緒にショップに戻らないと帰れないので、時間をつぶすためにね。おかげで一日でずいぶん焼けました(^_^;)
強かった波の方はといえば、僕がエグジットした後、すぐにうねりが強くなってきて一度はエントリーが禁止になりましたが、その後、もう一度入れるようになりました。とはいえ、ベンチから見ている感じでは、波の状態がそんなに変わって見えないので、あんな海によく入るよ、とヒトゴトのように感心していました。
ところで、IOPはお客さんを喜ばせようと、クリスマスやお正月など、何かと理由をつけては自前でもイベントをして地上を盛り上げようとしていますが、この日は、マリンダイビングの編集が来ていて雑誌を宣伝していました。その日に水中で撮った写真を送ると「絶対に」マリンダイビングに載りますっていうキャンペーン。で、過去のマリンダイビングの余った雑誌も配っていたので、ダイビングを初めてから数冊しか雑誌を買っていない僕は、ちょうどいいやと号違いの3冊をもらってきました(^^)/
そうしたら、同封されていたチラシで「マリンフォト」という季刊誌があることを知りました。本屋で見たことないな、買わねば、と思いました。とりあえず既刊を買おうとamazonを覗いたら、、、既刊の中古が高いことに驚きました。ん??月刊マリンフォト?昔は月刊だったのね、、、なんというか、ガンバレ!(^_^;)
他にも、TUSAが新商品の無料貸し出しをしていたり、SONIAがマスクのゴムバンドにあてる布製のパッドを配布していたり、オリンパスが水中カメラの貸し出しをしていたり、冬にはメニューの寂しかった食事処コーナーで普通に海の家っぽい感じにメニューが充実していたり、冬期閉鎖されていた海水プールに水が入っていてお客さん(小さい子供連れ)がいっぱいいたり、バーベキューをしている人がいたりと冬の寒々とした光景とは違い賑やかで楽しい雰囲気に包まれていました。
その中で、GULLの宣伝に来ていた社員は本来禁止されているはずの場所でタバコを吸っていて大ヒンシュク。一番人通りの多い所にテントを立てていたのですが、そこはタバコを吸っていい場所ではなくて。というわけで、GULLのフィンは買っちゃダメだなと僕の中で確定しました。ダイビングの講習で最初に習うことの一つに、心拍数や末梢血管の血流量に影響するためダイビングでは危険だからタバコはダメです、と大手指導団体の教科書に書いてあり、ダイビングをやる人は全員そのことを知っているはず。そのため利用者の多いIOPではちゃんと分煙がされているんです。その警告を無視して吸う人自身が死ぬのは勝手ですが、受動喫煙で人を巻き込むような行動をするマナーのない社員を雇っているメーカーは淘汰されるべきだな、と思いました。もしダイビングをやらないのにGULLに採用されているのだったら、それはそれで使う人のことを理解せずに宣伝しているのでNGですしね。 - comments(0), trackbacks(0), - -
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