写真の上達方法ー客観基準を自分の中に育てる | 風景写真家 落合勝博 ゆるブログ
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写真の上達方法ー客観基準を自分の中に育てる
category: 写真のコラム
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    芸事の上達法に「守破離」という言葉があります。
    これは、ある芸事に取り組む時に、もっとも効率が良いとされる昔からの「学ぶ技術」です。

    守:師匠の教えを忠実に守り、完全に模倣して自分のものにする段階
    破:師匠以外の人の考えを取り入れる段階
    離:自分のオリジナルを生み出す段階

    写真において、この考えを実践すると、最初の「守」で取り組むべきことは、
    1.上手な写真の客観基準を自分の中に作る
    2.客観基準に従った作品を作る
    ということかな、と思います。

    今日は、この最初の「客観基準を作ろうよ」という話です。

    客観基準とは「他人だったら、こういうものを上手いと言うよね」というイメージを自分の中に作ることです。
    これができるようになると、自分が撮った写真のどういう所が良くて、どういう所が悪いのか、客観的に判断できるようになります。

    そうすると、自分が撮った写真の一枚一枚に対して、ここを次は改善しよう、とか。ここは良かったので次もやろう、とか。そういうことを自分で考えて行動を選択できるようになります。この段階まで来られる人は、遅かれ早かれ、まずフォトコンには入選できる人です。僕にちょっと何か言われて(あるいはブログを読んで)、ああそうか、と自分の行動を直せちゃう人は、だいたい、このくらいまでは最低でも到達できる素地を持っています。守だけでも十分フォトコンには通ります。

    で、その客観基準を得るための方法ですがすごくシンプルです。

    「良質な作品をたくさん見ること」

    以上。

    、、、まぁ、これだとコラムにならないので(笑)、もう少し説明すると。

    「たくさん」というのがどのくらいかと言うと、1万枚くらいひたすら見続けることです。幸いにも仕事や性格として分析能力が発達している人の場合、数千枚でも済むこともあります。ただ漠然と見ていてもある程度上手くなっていくと思うのですが、僕がしたことは、「写真の教科書」(本の名前じゃありません、そうした教科書の類ということね)で得た知識を元に、そこに表現されている構図や意味はどうして、こうしているのだろうか、という分析を「全て」の写真にしただけです。想像してください。1万枚の写真に対して「どうしてこの写真は三分割法を少しずらして表現しているのか」「どうしてこの写真にはこんな余計に思えるものが存在するのか」「どうしてこの写真は華やかで元気なイメージに見えるのか」「どうして、、、」。そんなことを見た写真全部に対して、一つ一つ時間をかけて問いかけてみたのです。それを繰り返した結果、芸術と無縁だった僕にさえ、どんな写真が「良い」写真と「言われている」のか、その客観基準を得ることができました。
    ただ、間違ってはいけないのは、ここで得られる客観は「平均的な」解釈によるもの。あまりにも突き抜けている人の作品を理解するには、実はこれでは足りませんが、、、それは今回の記事の主眼ではないので。とはいえ、自分の理解を超えた作品に対して、理解しようと努力することで培われることもありますので諦めないで見続けること、そして理解しようとすることが大事です。

    そして「良質」とは、トッププロ、もしくはトップアマの「作品レベル」の写真、という限定が付きます。トップがどのくらいかは、あなたのレベルによるので何とも言えませんが、プロの場合、「少なくとも」5冊以上の写真集を出している、というのを条件にしちゃっていいかな、と思います。できれば10冊。そして、トップアマというのも、写真集こそないですが、実に上手くて参考にすべき材料が多いのです。これはフォトコンや展示会でしか見ることができないので、そうした雑誌なり、メーカー配布の結果を参照するしかないのですが。写真集よりも安価に手に入れることができるので、ぜひそうしたものも参考にしていただきたいと思います。アマでも中身はプロ以上という人が結構いるのが、他の業界ではあまりみかけない現象の一つ。風景写真はね~、プロで食べていくのが難しいんですよね~。デジカメのおかげで単価も下がってさらにきつくなっているそうですし。だからある程度名前が売れてきたプロでもカメラ雑誌に記事を書いたり撮影ツアーをやったりと副業に精を出しているので。そういう意味ではアマの方が時間とお金の制約は少なかったりするので、アマのまま続ける人が多いのでしょうね。

    話を戻すと。僕の場合は写真を始める前から風景写真を志してしまったので、風景写真家しか参考にしないように思われるかもしれません。実際に前田真三の写真集は全巻持っていますし、海外も含めて、他のいくらかの風景写真家の写真集も持っています。ここまでは守の段階の話。
    ただ、学習の過程では、風景に限らず、ポートレートやコマーシャルフォトなど他のジャンルも積極的に勉強してきましたし、ルノアールや東山魁夷など画集を買って勉強もしてみました。そうしたクロスジャンルの学習を通じて分かったことは、ジャンルに限らず、ある一定レベル以上の作品とは、思想の差違はあるにしても、技術的なこと、精神的なこと、はいずれもジャンルとは無関係に共通している部分がある、ということです。技術的なことを言えば、ポートレートにおけるライティングの概念は風景写真においても取り入れるべきですし、コマーシャルフォトの「作られた」背景は、そうしたものを志すように風景写真でも背景を選ぶべき時はあります。あるいは絵画的な表現、写真的な表現、そうした境目を自由に行き来するための目を養うこともできました。芸術分野では歴史の浅い写真だけにこだわっていないで、もっと長い歴史を持つ絵画などの芸術の歴史一般を一度学んでみることは無駄ではありません。参考にすべき考え方がそこにはいくつも発見できます。今振り返ってみれば、これは破の段階に相当する行為だったのだろうと思います。

    また脱線しましたが、いずれにせよ、そうした学習を通じて自分の写真を「客観的に見る目」を持つことが上達には欠かせないと思うのです。

    以前に、本田宗一郎氏の創業当時のお弟子筋にあたる人のセミナーを受けてみたことがあります。
    当然、技術屋としての心得についてのセミナーだったのですが、講師の名前は忘れても忘れられないことが一つ。
    「型破りと形無しの違い」についての言葉。

    曰く。
    型破りとは、ある型を踏襲してそこから新しい型を作り出すこと。
    形無しとは、型を学んでいない者が適当にやっている状態。

    中には形無しのまま突き抜けてしまい、世の中に認められてしまう人もいます。どんな分野でも創始者というのはそういう人です。ですが、それは多くの人にとっての近道とはならないのです。一ジャンルを築いた画家、例えばピカソだって、最初は普通に上手い絵画を描いていたことを思い起こしていただきたいと思うのです。

    今は、本やインターネットで色々調べられる環境があることで、僕のように特定の師匠がいなくてもある程度まで自分でどうにかできてしまいます。いい時代、いい国に生まれたことに感謝。

    最後に、僕が参考にすべきと思う本をごく一部ですがご紹介しておきます。これはごく一部で、見た、あるいは読んでみた本の1/30くらいかな、、、。絶版になっていて入手できない本や海外の店頭で買ってきたものはamazonでも扱っていなくて紹介できないものが多くなってきましたし。写真の教科書はたくさんあって、どれでも似たようなものなので、説明の上手下手のムラをならすために、何冊か、amazonのレビューを参考に買って読んでみれば新しくても古くても何でも良いです。後はどれだけトップクラスの芸術に触れて、その学習したことを元に分析できるか次第。写真集を買う場合は、自分が気にいっている写真作家のものを優先して構いません。ただ、できるだけ多くの良質な作品に触れて欲しいと思うのです。多分、一人、二人では作品数が足りないことになるでしょう。







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    Comment.
    「客観基準」ですよねぇ・・・ 自分に最も足りないものの一つだという事は随分前に気付いていて、でも気付くことと、乗り越えることの間のギャップは大きく・・・(泣) 興味深く読ませていただきました。
    「一つ一つ時間をかけて」一万枚ですかぁ〜 365日、毎日10枚ずつ見続けても3年ですよ! どれだけ時間を投入したんですか!? 偶然ですが、先日セミナーを聴きに行った某写真家の話と通じるものがあると感じました。
    特に写真史を語るというテーマでは無かったにも関わらず、彼は19世紀の写真術草創期の話から語り始めました。撮影時に行う数多くの選択(機材・構図・露出等々)を行うにあたり、先人たちが行ってきた選択がヒントを与えてくれると。彼は写真を学ぶための大学に通っていた時に、図書館で数多くの作品を見てきたそうです。
    大学生ならでは・・・とも思ったのですが、サラリーマンである落合さんが同じようなことをしていたとは。。。。 僕は、死ぬまでに一万枚に到達できるだろうか・・・(汗)
    2012/09/04 11:57 PM, from Chorlie
    コメントとして返答を書き始めたら長くなってしまったので、後の記事(http://blog.pho10.com/?eid=234)に独立させました。(^_^;)
    2012/09/06 6:18 AM, from 落合勝博
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