写真の上達方法・補足ー「これだけ覚えれば上手くなる」記事の嘘 | 風景写真家 落合勝博 ゆるブログ
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写真の上達方法・補足ー「これだけ覚えれば上手くなる」記事の嘘
category: 写真のコラム
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    写真の上達方法ー客観基準を自分の中に育てるという記事のコメントに対して返事を書いていたら、あまりにも長文になったので、記事として独立させることにしました。読んでいない方は、元記事を読んでからの方が楽しめます。

    上手くなるには「良質な作品をたくさん見ること」と書いたことに対して、僕の場合、どのくらい見ていたかですが、最初の数年は、平均すれば、一日、30枚以上は見続けていました。ノルマとして決めていたわけではなくて、その頃の使える時間をギリギリまで使うとそのくらいだったということです。見始めの最初は時間がかかるので枚数も少ないのですが、だんだん、これはあのパターンだ、いやこれも複合要素として入っているな。この色使いはこのパターンをベースにしているのかな、と分析できるよになります。そうなると、典型的なものについては構図や配色で迷わなくなるのですごく早く分かるようになっていきます。一分も眺めれば分かるようになります。その段階まで到達するのが僕の場合で8~9ヶ月後くらいの頃でした。その間、並行して、少なくとも1ヶ月に1冊は新しい教科書を読んで元になる基礎知識を増やしていました。それでも、やっぱり謎として残る部分はあって、どうしてこう感じるのだろう、というのは自分への宿題として溜め込んでおいて、思い出しては考える。そして、新しい教科書に何か書いていないか探してみる。それでもないから、また考える。で、数週間、時には数ヶ月の間、ずっと宿題について考え続けていると、だんだん考えが熟成されていって、ある日、自分の中に答えがあったことに気付く、、、。そんな仕事以外の時間は写真のことしか考えない幸せな生活を過ごしていれば、1年~1年半くらいで達成可能です(笑)。家庭持ちの人だとちょっとばかりツライかもしれませんが、幸いにも電車通勤の人は、その時間にずっと考えているだけでも相当できるのではないかなーと。車内の広告だって立派な教材なんですよ。文字があるのでバランスを取っていたりするのですが、それをまた考えてみたり。テトリスが流行った頃、何を見てもテトリスのように詰めることを考えてしまう人がいましたが、そのぐらい、考えていたんじゃないかな、と。
    それと、学習の成果を確認するために、この段階の頃は、好き嫌いはともかくフォトコンにはやっぱり積極的に出す必要があると思うんです。それで、通るようになると、そうか、これぐらいならば客観的に「良い」と判断されるんだ、と分かるし、落ちれば、これだとダメなんだ、何が悪いんだろうと考える。それで「ズレ」を修正できるわけですね。多少選者に左右されることは否めませんが、それは圧倒的に選ばれる作品でないのが原因で当落選上になっているだけなので、、、選者のせいだけにしているうちは、、、やっぱりまだダメかな、とか。(^_^;)
    僕が最優秀を獲ったいくつかの作品で、選者に対する挑戦状のつもりで出してみたものもあります。「牧歌聞く朝の丘」は、投稿段階において、作品に取り入れた「試み」が理解されれば最優秀の可能性が高いだろうし、分かってもらえなければ入選すらしないだろうと。同じ選者を選んで出し続ける雑誌フォトコンの価値というのはブレない価値観を持った選者を基準に自分の基準を確かめて修正できることだろうと思います。

    今回、元記事を書こうと思ったキッカケは、誰とは言いませんが、、、とにかく撮れば上手くなる、とテキトーなことを書いている人がいてちょっと頭にきて。確かに撮らなければ上手くならないけれど、それだけで上手くなるわけないだろう、と。ただ撮るだけではなくて、考えながら撮れる人は絶対にそのうち上手くなるのですが、そもそも考えるためには評価基準が必要で、それはどうやって作るものか、最近はちゃんと正直に書いてないよね、という流れから来ました。

    よく「写真が上手くなるテクニック」という感じで、コレだけ「覚えれば」OKみたいな「インスタント」な記事や本を見かけるのですが、、、テクニック自体は間違っていないのだけれど、「コレだけ覚えれば」の部分は少しでも違っていたら応用できないのでダメだろうと。応用するためには、基本を「頭で」よく理解して自分で「ちゃんと」使える段階になり、さらにその類型も含めて数多くの類似パターンを学習しておく、という過程が最初になくては、どれをどのように適用するか判断できないはずなんです。自分の中に基準が確立するまでは、ね。自分が撮る写真に本当に自信がつき、一度、自分の中で、完全に腑に落ちた状態になれば、類型パターンとかそういうのは全く考えなくてもよくなり、自然に一番「おさまりのいい」構図や配色にできます。その段階まで来ると、もう日の丸だとか三分割だとか向きだとか、、、そういう自分の考えを型にはめる「制約」は正直考えなくなります。必要だと思うことをやってみて、それがたまたまそういう類型の一つに近くて、誰かに説明する時に便利だから、そう説明しちゃう、という流れ。でも、自然に写して制約に近い状態になる所まで行くには、最初は多少窮屈でも、まずは類型にはめて撮り続けて、それで自分の感覚と型を完全に一致させてしまう段階を通り越す必要があるのです。これが写真における守破離の「守」をマスターした段階なのです。その先にオリジナリティを追求して新しい流派を作りたければ作ればいいですし、構図や配色に無理にオリジナリティを求めなくても、その人の人生観や世界観自体がオリジナルなハズなのだから、写真で表現されることは自然にオリジナリティのあるものになっていくはずなんです。少なくとも僕はそういうものだと考えています。これだけ写す人がいれば似ているものもあるでしょうが、個展をやるために例えば40点くらいのまとまった作品数でメッセージを表現すれば、どうやったって違うものになるはずなのです。

    話を戻して。そういう「すぐ上手くなりそうな錯覚を起こす」都合のいいことが書いてある記事とか本とかは、読者が嫌う「時間のかかる部分」を正直に書かないので、不誠実だなと。そんなことをマジメに言っちゃう本は売れないものね、、、。そういう本を避ける風潮を生み出している読者側にも責任があるのですが、幸いにも、僕の記事を読んでいる昔からの常連さんは、僕の記事でそういう地道なことをやれということを(時には耳を塞ぎながら)昔からそれを読んできているはずなので、僕がこんなことを書いても、きっと全く違和感を持たないだろうという安心感があります。今回は、ただ、なんとなく分かってもらっていそうなことを明文化してみただけです。だから、読んでいる側も、また言ってるよ、と安心して読んでいるはず(笑)

    「これだけ覚えればOK」ならば、もっと加速度的に上手い人が増えているはず。だからこのコピーは不誠実なんです。全部を言っているわけではない。逆に「才能がなければNG」というのも嘘。だったらこんなにたくさんの上手い人がいるわけないんです。誰でもそこまではイケるんですよ。

    ちゃんと考えてみれば分かるのですが、自分がいつまで経っても「永遠の初心者」と気付くのは何年も、時には10年以上も経ってから。それでもやっぱり変わらず上手く写せたらいいな、と言っている人が多いわけです。だったら、最初の一年を最初から上手くなるのに使ったら、あとの何年、あるいは10年以上は上手くなってからの時間だから、もっと有意義に使えるのに、もったいないよね、と思うのです。もっと、長期的な視点で考えてみれば、どちらがより近道なのかは、歴然としています。

    ちなみに、誤解しているかもしれませんが、その一年は苦行でもなんでもなくて。好きな写真を時間を忘れて穴が空くほど見るのですから、正直、楽しい時間でした。そろそろいいかな、と、やらなくなった頃はもう見るものがなくて寂しく感じたものです。そんなわけで、復習好きな僕は、教科書もダメもとで買い続けていましたが、その段階では、すでにあまり得るものはなく、お金と時間を無駄にした気がするので、この段階ではもう「同じ流派」のことは置いておき、「破」を実現するために、他流派の取り込みを図ることに専念した方が良いと思います。

    最後に。
    過去の選択の繰り返しの末に辿り付いたのが現在。
    現在とこれからの選択の繰り返しの末に辿り付くのが未来。
    今とは違う未来にしたいのであれば、まずは、今、目の前にある選択を、今までとは違う方法で選ぶ必要があるのではないかというのが僕の考えです、
    と背中を押しておきます。

    以上でコメント(笑)を終わります。

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