#2 私に何かを見せてくれ!〜教科書の次に読むノート | 風景写真家 落合勝博 ゆるブログ
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#2 私に何かを見せてくれ!〜教科書の次に読むノート
category: 写真テクニック中級編
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    さてシリーズ2回目。今回から何回かに渡り鑑賞者の視線の話をしようと思います。

    雑多な桜のイメージ新着フォトを見ていて気づくことの一つにこんな感じの写真があります。これは一眼を買って1週間〜2週間ぐらいの頃に写した最初の桜(河津桜)の写真(の一部)です。
    さて質問です。この写真の中で「あなたが見た最初の『部分』」はどこですか?ちゃんと見て、意識的に目の位置を確認してから次の文章に進んでください。この目の位置の確認はとても重要な作業です。

    さてと、答えに窮しましたね?


    「全体」と回答した方へ。嘘をついてはいけません(笑)。焦点と周辺視野の影響で、人間には「全体」をまんべんなく一度に見る能力が構造上備わっていません。もう一度見て確認してください。

    迷ったのは、全体の印象が均一に表現されている中で、特に注目に値する「ある一点」が存在しないためであり、鑑賞者のごく一般的な行動なのです。これが写真上で「目が泳ぐ」ということです。「分からない」「どこにもない」と答えた人は自分を客観的に見ることができる人です。ひょっとしてあなたは初心者ではありませんね?いずれにせよ、あなたは多少なりとも困惑し、イライラしたことと思います。「salarymanは私に『何』を見せたいのだ?」とね。これは自然なことです。なぜならば写真にせよ絵画にせよ意識的に何かを見ようとしている鑑賞者はいつも自分が見るべきものを探しているのです。生理的なものです。せっかくそちらを見ようとしたのにそこに「何か」見るべきものがないと失望します。
    別に上手である必要はなくて、ただ「目が最初に落ち着く場所」を作ってあげれば、このイライラを解消してあげられます。でしたら、この生理現象を逆手にとって、その場所を作ってあげさえすれば、それを主役と認識します。これが一般的な人間の認知の程度です。そこにまず目を惹きつけて、そこから作品の全体に目を移させるように画面を構成すれば良いだけです。

    春初めこの作品「春初め」は、その1年後に撮った、河津桜の写真です。
    また同じ質問をします。今回「あなたが見た部分」はどこですか?
    今回は、さきほどと違って、誰もが「あの」桜の花びらと答えるハズです。「何か見るべきもの」を用意してあげて、「他は見ないでください」と言葉で言う代わりに焦点が当たらないように全部ボカしたからです。主役は明らかに桜であり、この作品において菜の花を主役と思う人はかなり少ないハズです。それでも最初の花びらを見た後に、全体をくまなく見たハズです。その後、目はまた桜に戻りましたよね?これが作品を見る時の目の動きの典型的なパターンの一つです。


    秋雨に踊る紅の舞上記の比較は、今が旬の紅葉にも言えることです。「紅葉がキレイだなぁ。写しちゃおう」と思って写すわけですが、最初の例のような「ある一点」の見せたい部分を本人が意識していないため、写っている写真にも「ある一点」らしき部分が見あたらないことが多いです。目が泳ぐと鑑賞者はイライラします。「何か目を止めるべきものを見せてくれ」とね。たとえ今は上手でなくても「ある一点」の見せたい場所、つまり「芯」があれば、何を見せたいのかは分かるものです。左の作品秋雨に踊る紅の舞」では、主役は紅葉ですが、目に見える「ある一点」として「お堂」(の鐘)を選んでいます。全体に動き(ブレ)のある中で、動かないお堂があることで、そこがその「一点」だと認識されます。そしてそこから周りに目をやると紅葉が美しいという仕掛けなのです。


    構図には様々な意味や効果があるのですが、その一つに、どのように作品を見せるか、鑑賞者の視線の誘導方法としての効果が認められます。今回使用した構図は、悪名高き「日の丸構図」です。少し上下にずらしただけで同じものですよ。私、結構好きなんです。作品の中でよく使います。ど真ん中ということは少ないので気づかないかもしれませんが、実はそうなのです。

    教科書に載っている構図には様々なパターンがありますし、それぞれに意味や効果はあるのですが、その共通の概念を注意深く考えてみると、たった二つのことを言っているだけだと気づきました。視線の「集中」とその「移動方法」です。この組み合わせをそれぞれ「違う名前」で言っているのが「○○構図」と呼ばれるものです。その集中のさせ方と移動方法の組み合わせには、それぞれ効果的に使えるシーンがあって、日の丸構図の場合には「集中」させた後、周りをまんべんなく見てね、という「移動方法」を指定しているのです。集中させたい部分以外に主題への貢献度としての優先順位が存在しない場合に最も効果的に働きます。逆にこの構図を使っても「ある一点」以外にも目が行くような写真では結構悲惨なことになることが多いです。これが「初心者丸出し」と言われる「日の丸構図」の悪名を作っている原因だと、私は考えております。

    見返り美人さて、前回の続きです。この作品「見返り美人」が現在ではダメだと考える理由は今回説明したことにも関係します。この作品は主役が大きすぎて、鳥全体を「ある一点」と見なせません。意識的な「ある一点」が欠如しているのです。ただし、このような場合でも、被写体が動物の場合には、顔、特に目が「ある一点」として機能する場合があります。前回の「深絆」ではどこに目がいきましたか?人間を含む動物は本能的に相手の目や顔を見て、相手が何をしようとするのか注意を払う習性を持ちます。この習性により、この作品では「たまたま」そうだというだけで、作者である私がそこを見せたいと思って見せているわけではありません。逆にこの習性を使いたいのであれば、顔、あるいはもっと限定して目が作品の中心となりますので、その位置が画面上のどこに来るかを意識する必要が出てきます。


    今回のお話はいかがでしたでしょうか?
    今後は視線を迷わせない「ある一点」が、フレーミング内に確かに存在することを確認しながら撮られると、今までよりも訴求力のある写真になると思います。:-)

    ※ 例外もたくさんありますが…このシリーズでは、英語の「出る単」のような「役に立ちそうな順」を意識したいと思います(続く限りは)。TOEIC用の対策本で言えば、3ヶ月で650点突破!というノリです。:-p
    comments(2), trackbacks(0), - -
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    Comment.
    んー。なかなか出来てませんでした(笑)
    早く撮りに行きたくなりました。
    2013/04/09 8:25 AM, from たか
    そうですねー。今まで気がつかなかったことに納得してしまった時、僕もすぐにでも試したくなります。

    そうやって、一つ一つ課題を頭で理解し、その都度、一つ一つ確実に実践していく中で、誰でもある程度は上手くなれるハズなんです。ひとっ飛びにあれもこれも一遍にやろうと欲張ると消化不良で上達がかえって遅くなってしまうのです。反復するために予習と復習が大事なのは、学校の勉強だけではありませんね。:-)
    2013/04/09 9:48 PM, from 落合勝博
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