#3 主役を作り上げる〜教科書の次に読むノート | 風景写真家 落合勝博 ゆるブログ
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#3 主役を作り上げる〜教科書の次に読むノート
category: 写真テクニック中級編
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    シリーズ3回目になりました。
    今回は、前回の「ある一点」をどのように作れば良いのかについて、その考え方を説明したいと思います。

    さて、今回も認知の話から始めましょう。なぜならば、作品を鑑賞するのはいつも人間だからです。どう見えるのか、見る側の立場を忘れて作品を創ると自己満足の写真となってしまいます。

    前回の「ある一点」を認知されやすい対象たらしめている原因は、果たしてどのようなものなのでしょうか?
    私は「異質なモノ」ではないかと考えています。

    周囲とは違うモノに動物の目は惹かれます。自然界では「敵」と「味方」を区別することは生きる上で重要な本能です。多くの動物は自分の天敵を認識し、逃げる、あるいはやり過ごす方法を身につけています。それができない動物は生き残れないためです。人間も一対一ではどう猛な動物にはかないません。あたなもクマには勝てそうもないでしょう?
    そこで、どうしても周囲とは違う何かを常に意識しています。草むらの中に見える黒い頭とか、草原の中の黄色いヒョウ柄とか、青い空に浮かぶ大きなシルエットなどですね。そこに普段とは違う何かが見えると「ビクッ」と身をすくめて注目します。
    この異質なモノに対する本能は、ある一点(面倒ですので今回はこれを主役とします)を認識させることにも利用できます。そういう周囲とは異質なモノを主役とした場合、鑑賞者は本能でソレを見てしまうのです。見たらあなたの勝ちです。:-p

    異質なモノとはどのような時に生まれるのでしょうか?私は写真以外の分野でも私が必要だと思ったコトについては教科書を読んでみました。その結果、主役を周囲から際だたせる方法を学ぶにはデザイン(カラーコーディネートやプレゼンテーション資料の作り方など)が最適だと分かりました。ですから私はかつて皆様にカラーコーディネートや色彩検定の勉強をすることをお勧めしたのです(だいぶ前でしたっけ?)。
    そこから得た知見として以下のようなものがあります。

    スクランブル1.大小差

    (小さなモノに囲まれた)大きなモノは目立つ。あるいはその逆。
    これは皆様も本能で理解していますね。
    この作品「スクランブル」では明暗差も理由の一つですが、何より大きさにより主役たりえています。


    精霊宿り2.彩度差

    鮮やかな方が目立つ。グレーや黒の中の深紅や黄色は目立つ等。あるいはその逆。
    この作品では彩度差の他にも明度差、画面内の位置も手伝って、大きさは足りないのに圧倒的な存在感があることと思います。このように複数の手段を組み合わせることで一層主役を引き立てることができるのです。左の作品「精霊宿り」がこのケースに該当します。


    宇宙旅行#33.色相差

    周囲とは違う色、特に色環の中で遠いほど目立つ(補色と呼ばれるものです)。
    うまく使うととても強い効果が得られますが、補色に限らず、ある程度離れている関係にあるだけでも目立たせることができます。例えば赤と緑、赤と青、黄と緑、黄と青、赤と黄などです。この作品「宇宙旅行#3」も補色ではありませんが色相がある程度離れているために、周囲とは違うと認識できるでしょう?


    隠れ姫4.明度差

    暗い周囲の中で明るいモノは目立つ。あるいはその逆(シルエット等)。
    この作品「隠れ姫」のように元から明度差がある場合以外でも、主役として写したいモノに太陽があたり、他は日陰のようになっている場所であれば、際だたせることができます。


    愛の不協和音5.違う形

    周囲とは違う形、尖端、突き出たモノは目立つ。
    この作品「愛の不協和音」では、椿の花びらを配することで周囲とは違うリズムを作りだし主役としています。
    このように変わったモノはもちろんそうですが、枝の尖端や、丸い空間など自然界では珍しい形などに目が惹かれます。灯籠や窓枠を利用した覗くような構図がそうですね。紅葉や桜でも枝先を主役とすることは可能です。尖ったモノは警戒感からやはり本能で見てしまう傾向が強いようです。逆に主役ではないのに、これらの要素があると、視線を奪われてしまい、主役の印象が弱まることになります(他の要素についても同じことは言えます)。


    命の宇宙6.ピント範囲

    ピントが合っているモノは目立つ。
    同質のリズムの中でピントを合わせた部分は意識しやすく、それ以外は周辺視野と同じように見えるため意識を集中させにくいという認知の本能が働きます。この作品「命の宇宙」は大小差とともにピントによって主役の樹を認知させています。さらに樹の上部にさらなる注目点を作ることで、2段階の注目のさせ方をしています。


    存在7.孤立

    主役の周囲に何もないほど目立つ。
    主役の周囲に余計なものがないことが条件となります。丘の上の一本の樹が人気があるのは、この理由によるものと思われます。主役として認知しやすいのです。この作品「存在」では、ごちゃごちゃとした樹木群の中で背景を光で抜くことで周囲から樹を孤立させ主役としています。


    夕風の記憶8.画面内の位置

    中央ほど目立つ。
    典型は日の丸構図です。他にも別の回で説明する予定の視線の移動先にあたる場所は目立ちます。自然風景の作品では周囲と同質のモノを主役にしたい場合も多く、そのような場合に有効な方法だと考えています。この作品「夕風の記憶」も同質のモノが左右にありますが、その中で中央に置くことでここに意図して視線を集めています。


    これらの要素によって、主役を主役として認知しているのだと私は考えるようになりました。
    初心者が何の学習もせずに直感で(だいたい)理解しているのは1と2と6です。ですからこれらのことはある程度意識しなくてもできているとも言えます。ただし効果的な使い方を学ぶ必要はあります。そうすればもっと有効にこの認知の本能を利用することができます。他は意識して使う必要があることでしょう。

    以上の本能を利用して主役を認知させるには、そういう条件の主役を見つけるのが一つの方法です。
    逆に言えば、自分で意図して条件に合致させる方法を見つけ出せない場合には、長い時間をかけて検討しても写さないで去ることにしています。そのような合致しない条件でどのように撮れば分かりやすい作品にできるかを私はまだ発見できておらず、今の段階で写しても漫然とした捉えどころのない写真になることが分かってしまっているためです。少数の例外はありますが、今のところそれほどうまくいっていません(そのためその方法をご紹介することは今はできません)。
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