#10 レタッチの戦略〜教科書の次に読むノート | 風景写真家 落合勝博 ゆるブログ
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#10 レタッチの戦略〜教科書の次に読むノート
category: 写真テクニック中級編
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    久々の続編です。今回は、撮影後のレタッチでは、一体何をどのように考え補正すれば良いのか、迷っている皆様に今後の指針を与えられると良いなと思い筆をとることにしました。私からあなたへのちょっと遅いクリスマスプレゼント♡です。:-)

    まずは、次の2枚をご覧ください。1枚目は12/23にアップした「ホワイトクリスマス♡」です。2枚目は、そもそもe-p1のカメラ現像で得ていた画像(JPEG)です。間違い探しのようなものなのですが、まずは、補正した箇所と、なぜ補正したのかの意図を、見比べながら考えてみてください。なお「スポット修正」のような「何かを消す」操作はおこなっていません。

    ホワイトクリスマス♡補正後
    作品「ホワイトクリスマス♡」修正後

    ホワイトクリスマス♡補正前
    作品「ホワイトクリスマス♡」修正前

    さて、あなたはいくつの補正箇所を見つけることができましたか?
    それでは一つ一つ、補正理由とその解決方法を見ていきましょう。

    画面全体の明るさ補正
    この写真の最大の特徴は、「雪」を連想させる白い無数の電球です。雪は純白、清らかさの象徴です。特にこのクリスマスというイベントにおいては。ということは、必然的に画面にクスミがあっては台無しとなります。デートで一緒にいる彼氏さん、彼女さんが、がっかりするでしょう?:-p
    そこで、まず、夜空の漆黒の空は残したまま、全体の明るさを持ち上げています。この操作にはトーンカーブを用いています。空を暗いままにしておくのは、白さをより印象づけるためです。明暗の対比はたびたび用いています。作品によっては、逆に黒さ、暗さを強く意識させるために白い部分を作るということもやります。レベル補正で中間のスライダーを変化させることで処理しても良いですよ。私はトーンカーブが好きなのでトーンカーブを使っています。

    赤い道路の彩度落とし
    明るくすれば全体に色は薄まりますが、明るすぎても違和感がでてきます。とはいえ、画面右下にある赤い道路は全体が白い世界なのでかなり目立ちます。赤は特に彩度が高く目を惹きやすい色なのです。ここに目線を意味もなく持って行かれるのは心外なので、この彩度を落とすことにしました。この道路の部分を、範囲指定で赤だけ彩度を落としています。画面内には適度に明るい赤が散らばっていますので、このくらいまで彩度を落とせば十分と判断しています。これ以上やってしまうと絵になります。
    レタッチで私が注意していることがいくつかあるのですが、その一つに、その場所から撮ったことのある人に違和感を持たせてはいけない、現実離れしたことをやってはいけないというものがあります。写真と絵画が違う点の一つは、写真は頭の中で生まれた想像上のものではなくて、現実に存在するもので画面を作るという点にあります。あくまで他の人によって視覚的に再現可能なものなのです。ですから、その世界観を壊してしまうと、いかにもレタッチした絵のような印象の写真になってしまい、知っている人に違和感を与えてしまうのです。
    もちろん逆にそうしたいのであれば、それはそれで良いのですよ。そこは作者の意図さえハッキリしていれば、その方向にレタッチの方針を決めて良いのです。私は肉眼の印象を重視する方針なのです。

    左上のビルのクスミ取り
    左上の大きなビルは、この画面の中でも重要な「重さ」を持つ構成要素です。ところが、こんなに大きなものなのに「ホワイトクリスマス♡」には相応しくない「クスミ」が影として出てしまっています。「ホワイトクリスマス♡」に相応しく影を取り、明るく華やかな印象に変えることにしました。つまり影の部分を明るく持ち上げています。これで明るい部分とのコントラスト差がなくなり、画面全体にe-p1のアートフィルターとして付けた効果であるファンタジックフォーカスの強調処理がされることになりました。拡散系フィルターの効果(光学フィルターも含む)は、コントラスト比を落とす処理を入れているのです。ですからここでも同じことをすれば、その効果は強まるわけです。

    右上のビルのクスミ取り&ホワイトバランス修正
    左上のビルのクスミを取ったことで、右上の微妙にコンクリの色が違うビルが汚く見えてしまいました。このビルは左上のビルと同様に明るくすることでクスミを取りました。ただ、それだけではやや赤っぽい白になってしまいここだけホワイトバランスが赤っぽい照明の印象になってしまうので、画面に統一感を出すために、青側に色相を変更しています。青っぽい白にすることで、もともとの写真の蛍光灯色のホワイトバランスに色相を統一しているのです。こうすることで、赤系統は、東京タワーから画面下に点々と続くラインだけになり、目線の誘導効果も果たすようになりました。目線を迷わせないことは作品創りにおいて重要な構図上の要素です。撮影で実現できることはすれば良いのですが、実際には考えるだけで実現できないこともあります。それを補うのがレタッチなのです。撮影もレタッチもタイトルもキャプションも表現意図を表現するための手段なのです。ですから最初にまず必要なのが撮影前の構想なのです。「今回は、こういうことを表現しよう!」と考えてから撮影すれば、その後どうすれば良いのか、つまり、レタッチやタイトルにそれほど悩む必要はないはずなのです。後は推敲してより意図を表現したものに追い込んでいくだけの作業なのです。

    画面奥のビルのクスミ取り&ホワイトバランス修正
    東京タワーの下にあるビルも右上のビルと同じ系統の色とクスミです。これも暗さは比例させながら、全体にはクスミを取り、色相を青っぽい白にしています。

    ケヤキの枝のコントラストダウン
    こうして画面全体を明るくしてくると、ケヤキの枝の黒っぽさが目立つようになってきました。そこで、ケヤキの枝を全体に明るく仕上げ、電球とのコントラスト差を下げています。ここでも拡散系フィルターの効果が強まりました。

    黒っぽい服を着た群衆のコントラストダウン
    ケヤキと同様ですが、こうして見ると画面には黒っぽい服装の人であふれかえっていて目立ちます。全体になじませるために、これも明度を上げ、道路とのコントラスト差を下げています。もちろんこれも拡散系フィルターの効果アップにつながっています。

    空のノイズ軽減
    ISO640で手持ちで撮った写真のため、どうしても空にノイズが載ってしまっています。デジカメのノイズは暗い所に出やすい傾向があります。これはノイズ軽減すればだいぶ違ってきます。しかもノイズ軽減とは、周囲との明度や色相が極端に違うものを周囲と平均化して同化させる処理ですから、コントラストを下げる効果があります。つまりこれすらも拡散系フィルターの効果を高める処理なのです。

    パース補正
    この撮影での焦点域は35mm換算で34mmでした。少し高い所(正面の目線はビルの4Fに相当)から下に俯瞰して撮影しています。標準レンズ以下の広角寄りなレンズで水平よりも上か下かに傾けて撮影すると、パースが出てしまうのですね。レンズ効果としては決して嫌いではないのですが、これは自然風景ではなく都会です。都会の写真の特徴として人工物があり、この人工物は縦横のラインがしっかり出てしまいます。すると補正前のようにビルのラインが斜めになって、肉眼の感覚とのずれで、違和感が生じてしまうのですね。魚眼などの超広角レンズでわざわざそういう違和感を作り出す表現方法もありますが、今回の表現内容は「ホワイトクリスマス♡」です。パースによる歪みはこのイメージとは無関係のものですので、今回は六本木である、都会であるということを重視し、都会のスタイリッシュな縦横線をしっかり出してあげることに決めました。このようにイメージに沿ったものか、無関係のものかが補正するかしないかの意思決定に深く関わってきます。

    トリミング
    本来この写真ではトリミングは不要だったのですが、パース補正により、画面に少し余剰が出てしまいました。その分を少しだけトリミングしています。私は、トリミングは必要なら積極的にすることにしています。そうしないのも潔いとは思いますが、それを意識しなければいけないのは撮影時においてです。撮影してしまった以上、間違いは間違いとして、さっさと認めることにしています。もう終わったことなのですから、今さら頑固にしていても仕方ないのです。次の撮影の時に頑張ることにしています。

    最後にシャープをかけて輪郭強調をしようかとも思いましたが、これは今回はやめました。というのは拡散系フィルターの効果はコントラストを無くすことにありますが、シャープはこの逆のことを輪郭に対して行うのです。それだとフィルター効果が薄まってしまいますので、やめたのです。

    …このようにして「ホワイトクリスマス♡」は創られました。

    以上、普段私が考えていることが、ご参考になれば幸いです。
    重要なことは、撮影前に決める「この写真で何を表現したいのか?」です。それさえ決まっていれば、レタッチも含めて全てが実現手段にすぎません。:-)
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