#11 レンズの特徴と使い方〜教科書の次に読むノート | 風景写真家 落合勝博 ゆるブログ
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#11 レンズの特徴と使い方〜教科書の次に読むノート
category: 写真テクニック中級編
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    これだけあれば大丈夫!買っておくべきレンズの種類

    これから、おそらく数回に渡って、レンズの特徴の活かし方について述べていこうと思います。レンズには、おおざっぱに分けて、広角レンズ、標準レンズ、望遠レンズ、マクロレンズの4種類があります。基本的には、この4種類の撮影範囲をカバーするレンズを持っていれば、あらゆるシーンを撮影することができます。これらを少ない本数でカバーしやすいのがズームレンズです。つまり、広角ズーム、標準ズーム、望遠ズームの3種類を買いそろえれば、後はマクロを単焦点で買うだけでほとんどの人は済んでしまうことでしょう。

    私の場合、ほとんどCanonで揃えていますので、これらに該当するレンズは次のようなものを持っています。
    ・広角ズーム:EF16-35mm F/2.8L II USM
    ・標準ズーム:EF24-70mm F/2.8L USM
    ・望遠ズーム:EF70-200mm F/2.8L IS USM (場合によっては、エクステンダーで倍率を1.4倍、もしくは2倍に上げる)
    これに、好みに合わせてマクロレンズを買うのですが、私はボケ味の柔らかさに定評のあるTamron AF90mmを使用しています。ただしあまりにもAFが遅いので…手持ちで撮る人は最新のCanon純正レンズを購入された方が良いでしょう。

    レンズの差は写る像の大きさの違いではない!

    レンズを4本持つと言っても、被写体の大きさが変わるだけではありません。レンズの焦点距離を被写体の大きさが変わるということだけで捉えてしまうと、あなたは「望遠レンズの使い方」でしか被写体を撮れなくなります。つまり被写体の写る大きさに注目して使用レンズを選択すると「広角レンズの使い方」で被写体を撮ることは永遠にできないのです。これではせっかくの広角レンズがもったいないです。広角には広角の、望遠には望遠の、それぞれの特徴を活かした撮影方法があり、そういうことを意識することで、今よりもずっと上手く撮れるようになります。

    望遠レンズの特徴

    まずは、多くの初心者が最もよく使っているであろう望遠レンズでの撮影の考え方から説明します。望遠レンズを使うと「大きく」写すことができます。まぁ、それは否定しえない事実ですが、では広角では「大きく」写せないのかというとそういうこともありません。広角も被写体に寄れば良いのです。そうすれば望遠レンズのように対象を大きく写すことができます。でも…なにか違いますよね?その差は背景の差です。最も近い場所にある被写体の大きさは、望遠でも広角でも大差ないのですが、それよりも後ろにある物体の写る大きさが、望遠では大きく、広角では小さくなります。

    そんなことぐらいは分かっているですって?…まぁそうでしょうね。でもここからが重要なことです。フレーミングした際にどのような構図技術をそれぞれのレンズで考えるべきなのか、これが大事な差なのです。これまでのノートで、遠近感のためには手前から奥に向かって伸びる視線の誘導を行うように勧めてきました。実はあれ、広角の場合に意識すべきことです。望遠のことについてはあまりちゃんと述べてきませんでした。

    望遠の場合には、手前も奥も大きく写っているのですから遠近感の技法を使えません。遠近感の表現には、大小差が重要になります。近くの物は大きく、遠くの物は小さく写ることで、人間は3次元的感覚を掴んでいるのです。しかし大きさが変わらないのですから、この技法はほとんどの場合に使えなくなります。このことを撮影時に忘れないでください。望遠では遠近感の表現は難しいのです。そもそもパンフォーカスを得にくい焦点域ですしね。難しいことに正面から立ち向かっても良いのですが…まぁ、最初はやっぱりそれよりも、遠近感ではない構図を目指した方が上手くいくのではないかと私は考えます。

    さて、遠近感を捨てると何が変わるのでしょうか?それは前景を置くという、どんな教科書にも載っている構図の基本技術の一つを忘れる必要があるということです。前景を置いて上手くいくのは広角レンズ(もしくは標準レンズ)の場合が圧倒的に多いのです。では忘れてどういう考え方で撮れば良いのかと言えば、それはより「デザイン的な」配置を意識するということです。誤解をおそれずにざっくりと言えば、主体をシンプルに輪郭で表現する、ということです。もう一つは上下左右のバランスです。広角の場合よりもフレーミング範囲はずっとシビアになります。というのもラインがシンプルになる分、少しの違いでも目立つのです。

    焔立つ最近の作品で検討してみましょう。この「焔立つ」は70-200mmで撮影した望遠の作品ですが、実は左の最終カットの他にもいくつか標準レンズで検討した構図があります。その一つは当然三分割法に基づいたものでしたが…視線誘導には役立たないのでやめました。一応上下のみ三分割法に近いようにも見えますが…これはたまたまそうなったというだけです。一つには、富士山上空の青い空の部分の面積をできるだけ減らしたいという思惑と、画面下にある芦ノ湖を最低限分かる大きさで入れたかったのです。空の面積は雲がない状態で広すぎると間が抜けてしまうのです。その結果、富士山の大きさを強調するために、画面下に建造物を入れてはありますが、これは前景としての遠近感ではなく、あくまで高さの基準を示しているのです。構図した意図が全く異なるのです。


    まどろみひるがえって、遠近感で同じ富士山を表現するとはどういうことでしょうか?この「まどろみ」は24mm単焦点による撮影ですが、富士山と町並みの大きさの比率がずいぶん「焔立つ」と違いますね?これは、手前の町並みに目を惹きつけておき、そこを前景と捉えて、そこから奥の富士山へと目線を誘導している、典型的な遠近技法に基づいた作品なのです。同じ富士山と町並みで、配置の理由もその効果もずいぶんと違うことが分かります。


    日本もう一つ、デザイン的に撮影した作品で説明しておきます。この「日本」は「焔立つ」よりもさらに際だって遠近感を捨ててしまっています。「焔立つ」では建造物を俯瞰できるポイント、つまり上から斜め下を撮影しているため、若干遠近感を強調するような撮影方法になっています。しかし、この「日本」では、ほとんど水平にカメラを構えているために、手前の町並みと奥の富士山がほぼ平行に重なるように見えています。つまり、前景から徐々に奥に視線を誘導するということをやめて、それらを同時に見せているのです。同時に見せることによって平面的でデザイン的な表現になっているのです。なお、シルエットはデザインとしての効果の強調となっていて、順光での表現よりもさらにデザイン性を重視している撮影となっています。


    星の海に抱かれてでは、広角ではデザイン的な表現はできないのかと言えば、必ずしもそういうわけでもありません。それはどちらが向くかということであって、できないということではないのです。例えば、この「星の海に抱かれて」は35mm単焦点での撮影ですが、三分割法を用いているものの前景に配置したクルーザーは遠近感のための前景ではなく、建造物との上下の高さの対比として置かれた被写体に過ぎません。したがって、35mmでもデザイン的な作品を撮ることはもちろん可能です。逆に望遠でも遠近感を出した作品を作ることが不可能というわけではありません。ただ、どう考えるのが向いているかと言えば、望遠は二次元的、デザイン的な撮影を、広角は立体的、遠近感のある撮影を心がけた方が、そのレンズの特徴をよく活かすことができるということなのです。標準レンズは、広角も望遠も両方の特徴をバランス良く持ったレンズですので、どちらの表現もできますが、逆にそのどちらのレンズにも負けるレンズとも言えます。決まった意図があり、それを強めたい時には、その表現に向いたレンズを最初から使った方が良いでしょう。
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