写真テクニック中級編 | 風景写真家 落合勝博 ゆるブログ
#12 レンズの特徴と使い方2〜教科書の次に読むノート
category: 写真テクニック中級編
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    前回は、望遠レンズは遠近感のない、二次元の平面的なデザイン写真に向くとお話しました。(多くの)浮世絵、日本画、漫画に連綿と受け継がれる日本らしい部分ですので、日本人にはこちらの方がDNAレベルで写真としてイメージしやすいのかもしれませんね。

    広角レンズの二つの特徴

    さて、今回はいよいよ広角レンズの特徴と使い方について述べます。

    広角レンズには二つの特徴があります。

    一つは平面に奥行きまでを含めた「遠近感」の表現に向くということです。遠近感とは、実物では同じ大きさの物が、目で見た時に大きい方を近くにあると知覚し、小さい方を遠くにあると知覚する人間の視覚特性です。広角レンズは、近くの物をより大きく、遠くの物をより小さく映し出すように設計されていますので、遠近感が強調されやすいのです。

    もう一つは空間が広いということです。二次元の望遠レンズの使い方の延長ではありますが、画角が広い分だけ圧倒的に広い画面を「単一」の平面に割くことができます。

    遠近感の使い方

    緑渓漂光遠近感の表現では、近くの物が大きく遠くの物が小さく「見えます」。逆に考えると、平たい紙の写真を見た時に、大きな物を近くに小さな物を遠くにあるように人間には「知覚されます」。遠近感を写真に使うというのは、この知覚を最大限に活かすような写真を撮るということなのです。具体的には、この「緑渓漂光」のパターンが多用されます。このパターンでは、対象に寄れるだけ寄って、画面の1/3〜半分ぐらいをその対象で埋めるぐらいに近づきます。そして、同時にパンフォーカスでその後方を遠景として小さく見せることで、遠近感があるなぁ〜と感じさせているわけです。


    牧歌聞く朝の丘もう一つやや異なる例を挙げます。特に前景に目立つものを置くのではなくて、ただ、前景、中景、遠景にそれぞれの距離にあるものを順繰りに見せるというパターンです。これは広角レンズよりも標準レンズで遠近感を表現する時に向く方法です(少なくとも私はそう思っています)。このパターンは私もそれほど撮っているわけではないのだなとここに載せる写真を探してみて気づきました。たまには撮ろうかな、こういうの…。


    広角版平面の使い方

    雨後これが空間の広さを使うパターンです。このパターンでは遠近感のことは忘れて平面としてのデザインの表現に徹します。望遠の時のパターンは画面の中を構成物で埋め尽くすことでデザインするのですが(前回の例を参照のこと)、広角のデザインは、単一平面を広々と表現することで、その平面自体の模様をデザインに活かすように構成します。多くの場合、空とか海とかを入れることになると思います。空を入れる場合には、雲の広がりの面白さなどを表現するのに向きます。この場合、地上はオマケです。海の場合には岩場や波しぶき等、ワンポイントを入れて空間の余白を上手く回避する方が作品としてはまとめやすく簡単になります。


    アングル早見図

    最後に、私の独自の研究に基づくレンズ毎の効果的なアングル早見図を示しておきます。
    ・望遠(平面)…望遠は対象物の真横かつ離れた距離から。
    ・望遠(俯瞰平面)…もう一つは、遠くの頭上(山腹や建物の屋上等)から斜めに見下ろす角度で。
    ・広角(遠近)…前景の頭上からおもいっきり寄り、なおかつ遠景まで一緒に写す。前景までの距離は1〜2m。アングルは下向き。海の平面の場合、アングルと距離感はこれに準じます。
    ・広角(空の平面)…前景を下から見上げるアングルで。空の表情を豊かに写す。
    ・標準(遠近)…広角(遠近)よりもやや離れた位置から平行やや俯瞰気味なアングルで。ただし、標準で平面デザイン的な表現をする時は望遠(平面)と同じアングルで、なおかつかなり前景に近づいて。

    どう写していいか分からない時は、この図のアングルと対象までの距離を思い出してください。このノートを最後までちゃんと読んだ人だけの秘密です。しっ〜!。:-p

    アングル早見表
    秘密のアングル早見表。困ったら思い出してください。
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    #11 レンズの特徴と使い方〜教科書の次に読むノート
    category: 写真テクニック中級編
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      これだけあれば大丈夫!買っておくべきレンズの種類

      これから、おそらく数回に渡って、レンズの特徴の活かし方について述べていこうと思います。レンズには、おおざっぱに分けて、広角レンズ、標準レンズ、望遠レンズ、マクロレンズの4種類があります。基本的には、この4種類の撮影範囲をカバーするレンズを持っていれば、あらゆるシーンを撮影することができます。これらを少ない本数でカバーしやすいのがズームレンズです。つまり、広角ズーム、標準ズーム、望遠ズームの3種類を買いそろえれば、後はマクロを単焦点で買うだけでほとんどの人は済んでしまうことでしょう。

      私の場合、ほとんどCanonで揃えていますので、これらに該当するレンズは次のようなものを持っています。
      ・広角ズーム:EF16-35mm F/2.8L II USM
      ・標準ズーム:EF24-70mm F/2.8L USM
      ・望遠ズーム:EF70-200mm F/2.8L IS USM (場合によっては、エクステンダーで倍率を1.4倍、もしくは2倍に上げる)
      これに、好みに合わせてマクロレンズを買うのですが、私はボケ味の柔らかさに定評のあるTamron AF90mmを使用しています。ただしあまりにもAFが遅いので…手持ちで撮る人は最新のCanon純正レンズを購入された方が良いでしょう。

      レンズの差は写る像の大きさの違いではない!

      レンズを4本持つと言っても、被写体の大きさが変わるだけではありません。レンズの焦点距離を被写体の大きさが変わるということだけで捉えてしまうと、あなたは「望遠レンズの使い方」でしか被写体を撮れなくなります。つまり被写体の写る大きさに注目して使用レンズを選択すると「広角レンズの使い方」で被写体を撮ることは永遠にできないのです。これではせっかくの広角レンズがもったいないです。広角には広角の、望遠には望遠の、それぞれの特徴を活かした撮影方法があり、そういうことを意識することで、今よりもずっと上手く撮れるようになります。

      望遠レンズの特徴

      まずは、多くの初心者が最もよく使っているであろう望遠レンズでの撮影の考え方から説明します。望遠レンズを使うと「大きく」写すことができます。まぁ、それは否定しえない事実ですが、では広角では「大きく」写せないのかというとそういうこともありません。広角も被写体に寄れば良いのです。そうすれば望遠レンズのように対象を大きく写すことができます。でも…なにか違いますよね?その差は背景の差です。最も近い場所にある被写体の大きさは、望遠でも広角でも大差ないのですが、それよりも後ろにある物体の写る大きさが、望遠では大きく、広角では小さくなります。

      そんなことぐらいは分かっているですって?…まぁそうでしょうね。でもここからが重要なことです。フレーミングした際にどのような構図技術をそれぞれのレンズで考えるべきなのか、これが大事な差なのです。これまでのノートで、遠近感のためには手前から奥に向かって伸びる視線の誘導を行うように勧めてきました。実はあれ、広角の場合に意識すべきことです。望遠のことについてはあまりちゃんと述べてきませんでした。

      望遠の場合には、手前も奥も大きく写っているのですから遠近感の技法を使えません。遠近感の表現には、大小差が重要になります。近くの物は大きく、遠くの物は小さく写ることで、人間は3次元的感覚を掴んでいるのです。しかし大きさが変わらないのですから、この技法はほとんどの場合に使えなくなります。このことを撮影時に忘れないでください。望遠では遠近感の表現は難しいのです。そもそもパンフォーカスを得にくい焦点域ですしね。難しいことに正面から立ち向かっても良いのですが…まぁ、最初はやっぱりそれよりも、遠近感ではない構図を目指した方が上手くいくのではないかと私は考えます。

      さて、遠近感を捨てると何が変わるのでしょうか?それは前景を置くという、どんな教科書にも載っている構図の基本技術の一つを忘れる必要があるということです。前景を置いて上手くいくのは広角レンズ(もしくは標準レンズ)の場合が圧倒的に多いのです。では忘れてどういう考え方で撮れば良いのかと言えば、それはより「デザイン的な」配置を意識するということです。誤解をおそれずにざっくりと言えば、主体をシンプルに輪郭で表現する、ということです。もう一つは上下左右のバランスです。広角の場合よりもフレーミング範囲はずっとシビアになります。というのもラインがシンプルになる分、少しの違いでも目立つのです。

      焔立つ最近の作品で検討してみましょう。この「焔立つ」は70-200mmで撮影した望遠の作品ですが、実は左の最終カットの他にもいくつか標準レンズで検討した構図があります。その一つは当然三分割法に基づいたものでしたが…視線誘導には役立たないのでやめました。一応上下のみ三分割法に近いようにも見えますが…これはたまたまそうなったというだけです。一つには、富士山上空の青い空の部分の面積をできるだけ減らしたいという思惑と、画面下にある芦ノ湖を最低限分かる大きさで入れたかったのです。空の面積は雲がない状態で広すぎると間が抜けてしまうのです。その結果、富士山の大きさを強調するために、画面下に建造物を入れてはありますが、これは前景としての遠近感ではなく、あくまで高さの基準を示しているのです。構図した意図が全く異なるのです。


      まどろみひるがえって、遠近感で同じ富士山を表現するとはどういうことでしょうか?この「まどろみ」は24mm単焦点による撮影ですが、富士山と町並みの大きさの比率がずいぶん「焔立つ」と違いますね?これは、手前の町並みに目を惹きつけておき、そこを前景と捉えて、そこから奥の富士山へと目線を誘導している、典型的な遠近技法に基づいた作品なのです。同じ富士山と町並みで、配置の理由もその効果もずいぶんと違うことが分かります。


      日本もう一つ、デザイン的に撮影した作品で説明しておきます。この「日本」は「焔立つ」よりもさらに際だって遠近感を捨ててしまっています。「焔立つ」では建造物を俯瞰できるポイント、つまり上から斜め下を撮影しているため、若干遠近感を強調するような撮影方法になっています。しかし、この「日本」では、ほとんど水平にカメラを構えているために、手前の町並みと奥の富士山がほぼ平行に重なるように見えています。つまり、前景から徐々に奥に視線を誘導するということをやめて、それらを同時に見せているのです。同時に見せることによって平面的でデザイン的な表現になっているのです。なお、シルエットはデザインとしての効果の強調となっていて、順光での表現よりもさらにデザイン性を重視している撮影となっています。


      星の海に抱かれてでは、広角ではデザイン的な表現はできないのかと言えば、必ずしもそういうわけでもありません。それはどちらが向くかということであって、できないということではないのです。例えば、この「星の海に抱かれて」は35mm単焦点での撮影ですが、三分割法を用いているものの前景に配置したクルーザーは遠近感のための前景ではなく、建造物との上下の高さの対比として置かれた被写体に過ぎません。したがって、35mmでもデザイン的な作品を撮ることはもちろん可能です。逆に望遠でも遠近感を出した作品を作ることが不可能というわけではありません。ただ、どう考えるのが向いているかと言えば、望遠は二次元的、デザイン的な撮影を、広角は立体的、遠近感のある撮影を心がけた方が、そのレンズの特徴をよく活かすことができるということなのです。標準レンズは、広角も望遠も両方の特徴をバランス良く持ったレンズですので、どちらの表現もできますが、逆にそのどちらのレンズにも負けるレンズとも言えます。決まった意図があり、それを強めたい時には、その表現に向いたレンズを最初から使った方が良いでしょう。
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      #10 レタッチの戦略〜教科書の次に読むノート
      category: 写真テクニック中級編
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        久々の続編です。今回は、撮影後のレタッチでは、一体何をどのように考え補正すれば良いのか、迷っている皆様に今後の指針を与えられると良いなと思い筆をとることにしました。私からあなたへのちょっと遅いクリスマスプレゼント♡です。:-)

        まずは、次の2枚をご覧ください。1枚目は12/23にアップした「ホワイトクリスマス♡」です。2枚目は、そもそもe-p1のカメラ現像で得ていた画像(JPEG)です。間違い探しのようなものなのですが、まずは、補正した箇所と、なぜ補正したのかの意図を、見比べながら考えてみてください。なお「スポット修正」のような「何かを消す」操作はおこなっていません。

        ホワイトクリスマス♡補正後
        作品「ホワイトクリスマス♡」修正後

        ホワイトクリスマス♡補正前
        作品「ホワイトクリスマス♡」修正前

        さて、あなたはいくつの補正箇所を見つけることができましたか?
        それでは一つ一つ、補正理由とその解決方法を見ていきましょう。

        画面全体の明るさ補正
        この写真の最大の特徴は、「雪」を連想させる白い無数の電球です。雪は純白、清らかさの象徴です。特にこのクリスマスというイベントにおいては。ということは、必然的に画面にクスミがあっては台無しとなります。デートで一緒にいる彼氏さん、彼女さんが、がっかりするでしょう?:-p
        そこで、まず、夜空の漆黒の空は残したまま、全体の明るさを持ち上げています。この操作にはトーンカーブを用いています。空を暗いままにしておくのは、白さをより印象づけるためです。明暗の対比はたびたび用いています。作品によっては、逆に黒さ、暗さを強く意識させるために白い部分を作るということもやります。レベル補正で中間のスライダーを変化させることで処理しても良いですよ。私はトーンカーブが好きなのでトーンカーブを使っています。

        赤い道路の彩度落とし
        明るくすれば全体に色は薄まりますが、明るすぎても違和感がでてきます。とはいえ、画面右下にある赤い道路は全体が白い世界なのでかなり目立ちます。赤は特に彩度が高く目を惹きやすい色なのです。ここに目線を意味もなく持って行かれるのは心外なので、この彩度を落とすことにしました。この道路の部分を、範囲指定で赤だけ彩度を落としています。画面内には適度に明るい赤が散らばっていますので、このくらいまで彩度を落とせば十分と判断しています。これ以上やってしまうと絵になります。
        レタッチで私が注意していることがいくつかあるのですが、その一つに、その場所から撮ったことのある人に違和感を持たせてはいけない、現実離れしたことをやってはいけないというものがあります。写真と絵画が違う点の一つは、写真は頭の中で生まれた想像上のものではなくて、現実に存在するもので画面を作るという点にあります。あくまで他の人によって視覚的に再現可能なものなのです。ですから、その世界観を壊してしまうと、いかにもレタッチした絵のような印象の写真になってしまい、知っている人に違和感を与えてしまうのです。
        もちろん逆にそうしたいのであれば、それはそれで良いのですよ。そこは作者の意図さえハッキリしていれば、その方向にレタッチの方針を決めて良いのです。私は肉眼の印象を重視する方針なのです。

        左上のビルのクスミ取り
        左上の大きなビルは、この画面の中でも重要な「重さ」を持つ構成要素です。ところが、こんなに大きなものなのに「ホワイトクリスマス♡」には相応しくない「クスミ」が影として出てしまっています。「ホワイトクリスマス♡」に相応しく影を取り、明るく華やかな印象に変えることにしました。つまり影の部分を明るく持ち上げています。これで明るい部分とのコントラスト差がなくなり、画面全体にe-p1のアートフィルターとして付けた効果であるファンタジックフォーカスの強調処理がされることになりました。拡散系フィルターの効果(光学フィルターも含む)は、コントラスト比を落とす処理を入れているのです。ですからここでも同じことをすれば、その効果は強まるわけです。

        右上のビルのクスミ取り&ホワイトバランス修正
        左上のビルのクスミを取ったことで、右上の微妙にコンクリの色が違うビルが汚く見えてしまいました。このビルは左上のビルと同様に明るくすることでクスミを取りました。ただ、それだけではやや赤っぽい白になってしまいここだけホワイトバランスが赤っぽい照明の印象になってしまうので、画面に統一感を出すために、青側に色相を変更しています。青っぽい白にすることで、もともとの写真の蛍光灯色のホワイトバランスに色相を統一しているのです。こうすることで、赤系統は、東京タワーから画面下に点々と続くラインだけになり、目線の誘導効果も果たすようになりました。目線を迷わせないことは作品創りにおいて重要な構図上の要素です。撮影で実現できることはすれば良いのですが、実際には考えるだけで実現できないこともあります。それを補うのがレタッチなのです。撮影もレタッチもタイトルもキャプションも表現意図を表現するための手段なのです。ですから最初にまず必要なのが撮影前の構想なのです。「今回は、こういうことを表現しよう!」と考えてから撮影すれば、その後どうすれば良いのか、つまり、レタッチやタイトルにそれほど悩む必要はないはずなのです。後は推敲してより意図を表現したものに追い込んでいくだけの作業なのです。

        画面奥のビルのクスミ取り&ホワイトバランス修正
        東京タワーの下にあるビルも右上のビルと同じ系統の色とクスミです。これも暗さは比例させながら、全体にはクスミを取り、色相を青っぽい白にしています。

        ケヤキの枝のコントラストダウン
        こうして画面全体を明るくしてくると、ケヤキの枝の黒っぽさが目立つようになってきました。そこで、ケヤキの枝を全体に明るく仕上げ、電球とのコントラスト差を下げています。ここでも拡散系フィルターの効果が強まりました。

        黒っぽい服を着た群衆のコントラストダウン
        ケヤキと同様ですが、こうして見ると画面には黒っぽい服装の人であふれかえっていて目立ちます。全体になじませるために、これも明度を上げ、道路とのコントラスト差を下げています。もちろんこれも拡散系フィルターの効果アップにつながっています。

        空のノイズ軽減
        ISO640で手持ちで撮った写真のため、どうしても空にノイズが載ってしまっています。デジカメのノイズは暗い所に出やすい傾向があります。これはノイズ軽減すればだいぶ違ってきます。しかもノイズ軽減とは、周囲との明度や色相が極端に違うものを周囲と平均化して同化させる処理ですから、コントラストを下げる効果があります。つまりこれすらも拡散系フィルターの効果を高める処理なのです。

        パース補正
        この撮影での焦点域は35mm換算で34mmでした。少し高い所(正面の目線はビルの4Fに相当)から下に俯瞰して撮影しています。標準レンズ以下の広角寄りなレンズで水平よりも上か下かに傾けて撮影すると、パースが出てしまうのですね。レンズ効果としては決して嫌いではないのですが、これは自然風景ではなく都会です。都会の写真の特徴として人工物があり、この人工物は縦横のラインがしっかり出てしまいます。すると補正前のようにビルのラインが斜めになって、肉眼の感覚とのずれで、違和感が生じてしまうのですね。魚眼などの超広角レンズでわざわざそういう違和感を作り出す表現方法もありますが、今回の表現内容は「ホワイトクリスマス♡」です。パースによる歪みはこのイメージとは無関係のものですので、今回は六本木である、都会であるということを重視し、都会のスタイリッシュな縦横線をしっかり出してあげることに決めました。このようにイメージに沿ったものか、無関係のものかが補正するかしないかの意思決定に深く関わってきます。

        トリミング
        本来この写真ではトリミングは不要だったのですが、パース補正により、画面に少し余剰が出てしまいました。その分を少しだけトリミングしています。私は、トリミングは必要なら積極的にすることにしています。そうしないのも潔いとは思いますが、それを意識しなければいけないのは撮影時においてです。撮影してしまった以上、間違いは間違いとして、さっさと認めることにしています。もう終わったことなのですから、今さら頑固にしていても仕方ないのです。次の撮影の時に頑張ることにしています。

        最後にシャープをかけて輪郭強調をしようかとも思いましたが、これは今回はやめました。というのは拡散系フィルターの効果はコントラストを無くすことにありますが、シャープはこの逆のことを輪郭に対して行うのです。それだとフィルター効果が薄まってしまいますので、やめたのです。

        …このようにして「ホワイトクリスマス♡」は創られました。

        以上、普段私が考えていることが、ご参考になれば幸いです。
        重要なことは、撮影前に決める「この写真で何を表現したいのか?」です。それさえ決まっていれば、レタッチも含めて全てが実現手段にすぎません。:-)
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        #9 視線を集中させる〜教科書の次に読むノート
        category: 写真テクニック中級編
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          久しぶりの続編となります。今回は、いかに主役を際立たせるかについて、構図上の観点から述べてみます。以前の#2と#3で説明した内容を一部含みます。

          散漫で訴求力の足りない写真の中には、主役が脇役や背景に埋没していることが、その原因であることがあります。主役が埋没すると、鑑賞者はどこを見れば良いのかとまどい、イライラします。見るべき所が定まらず視線がふらふらしますので、記憶に残らない写真になるのです。

          「日の丸構図」は視線集中効果に関しては絶大な効果を発揮

          想いよ届け、西の空視線を集中させる最も効果的な方法は、画面の中心に主役を配置することです。これがかの有名な「日の丸」構図の最大の効果です。とはいえ、実際に「ど真ん中」に配置してバランスがとれるケースは、主役が真正面か真後ろを向いている時になりますので、主役にその他の向きがある場合には、セオリーに従いその向いている方向を空けた方がよろしいでしょう。この「想いよ届け、西の空」では、主役の周囲を広く空け、周りに同格のものを置かないことで、主役だと分からせています。


          ところで、日の丸構図を用いてなお、主役が埋没したり、存在が弱まる場合があります。その理由には、脇役や背景の方が主役よりも目立つ色調や明度を持つことが挙げられます。人間の視覚特性上、まず一見して他とは違う部分を見る傾向があるのです。ですから、主役以外のもので主役と同格かそれ以上に目立つものはフレーミング時に意識的に外す必要があります。これが「引き算」です。

          目覚めの刻また、主役に重なるものも主役への注意を弱めます。多いのは人物の頭に重なる木の枝や柱、縁石などです。そういうものはどうしても目で追ってしまうのです。主役に重ならないようにアングルを工夫しましょう。
          そして最後に、主役の周囲に一定の何もない空間を用意します。空間を用意するためには、ある程度主役の大きさを小さくしたり脇役と離したりすることが必要です。
          …これで「日の丸構図」が完成します。
          この「目覚めの刻」では、主役に脇役が重ならないアングルを探しています。また、同じピント範囲に同色もしくは同程度の彩度・明度のチューリップを置かないことで主役の埋没を防いでいます。


          三分割法でも考え方は一緒。注意すべきは敵役や脇役の存在感。

          この考え方は、日の丸構図以外でも使えます。
          私がよく使うのは三分割法をベースにした構図法ですが、そこでも当然有効です。

          夜のとばりが開ける刻例えば主役と背景しかない場合では、背景から主役が浮かび上がるようなアングルやタイミングで写します。
          敵役や脇役がいる場合には、それらとは少し離して配置することが必要になります。また、大小や、明度差、彩度差、ボケ量で主役とそうでないもの(敵役、脇役、背景)を分からせる必要があります。
          使用する構図法とは関係なく、主役に注意を向けさせる方法は基本的に同じ考え方なのです。
          この「夜のとばりが開ける刻」では、主役と背景には明度差を持たせるとともに、主役と脇役、背景を少し離しています。


          主役の大きさにより異なる工夫のポイント

          太陽主役を大きく写すと迫力があり元気な感じになりますが、大きすぎては一度に視界に入らなくなり、またしてもどこを見ればよいのか分からなくなります。そういう時には、さらに主役の一部を新たな主役として、そこを目立たせる必要が生じることもあるでしょう。
          この「太陽」では、主役は明らかに鳥。ただし大きすぎる主役は視線を集中させる中心が必要となります。ここでは、頭部を中心に据え、そこから放射状に羽根を見せることで視線の集中効果を狙っています。


          ラヴェルリー/夕日を浴びてこの「ラヴェルリー/夕日を浴びて」では、前景で空を埋めることで視界を制限し、また主役にライトが当たる瞬間を待って、前景や脇役である木々よりも目立たせることを狙っています。


          初心者が嫌うことの一つに、主役を小さく写すことがあります。ズームレンズは便利ですが、必ずしも大きく写すことが良いわけではありません。小さな主役は静かで閉じた印象を与えますので、そういう雰囲気を表現したい場合には積極的に使いたいところです。

          ただし、主役が埋没しないようにさらなる工夫が必要となります。一つの方法としては、前景を使うことで、強制的に視界を狭めることが可能です。ただし一つ気をつける点があります。前景だけでも十分に美しさを伴い、なおかつ主役よりも目立たないものを使う必要があることです。せっかく視界を狭めても違和感があれば台なしですし、目立ってしまっては、それだけ鑑賞者の注意を引いてしまい、主役が分からなくなったり弱まったりしてしまいます。

          以上のことを実践するだけでも、かなり「整理された」写真になるものと期待できます。:-)

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          指令!ノイズを消せ!
          category: 写真テクニック中級編
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            私がコダワッていることの一つにいかにノイズ感を無くすかというのがあります。「ノイズ」を無くすではなく「ノイズ感」を無くすと書いたのには意味がありますよ。その辺は後ほど。

            どんな作品にも大なり小なりノイズはあるものですが、長時間露光が多い私の作品においてはノイズは撮影時の露出問題と同じくらい深刻な問題となる場合があります。最近のカメラはかなり優秀になってきましたのでL版で焼いている限りは大抵問題ないことも多いですが。PX-5500で出力するA3ノビではさすがにちょっと…。

            ノイズ消去・軽減「灯影」先に公開したこの作品「灯影」でもISO400、4秒の高感度スローシャッターですから、当然ノイズがあります。その上、デジタル補正でかなり強調処理をしていますから、それがさらに目立ってしまうわけです。


            ノイズ消去・軽減、ムラこの作品はノイズ感をなくした後の状態ですし、リサイズしているからさっぱり分かりませんね。元の状態を示しておきましょう。今回の目標はこんなのを…


            ノイズ消去・軽減、ムラをなくすこんなのにすることです。まだよく分からないですか?そういう時は両方の画像をローカルに保存して、200%、300%にしてご覧ください。ビフォーで見られたムラが消えています。でもちょっと待ってください。拡大して見ると分かるのですが…逆にランダムノイズは増えていますね。これが最近取り入れている人間の知覚特性を利用したノイズ消去のマジックです。


            さて、まずはオーソドックスなノイズから。以下は全てPhotoshopの場合で話を進めます。

            ノイズ消去・軽減、高感度ノイズデジタル補正とは関係なくカメラが出力する画像にはノイズが載りますね。高感度(ISO400とか800とか)で撮影したり、長時間露光(数分とか)をしたりすると目立ってきます。
            あらためてノイズとは何でしょう?多くは周囲から突出した輝度やカラー情報を持つ部分がノイズと認識されます。
            ではそのノイズを消すとはどういうことなのでしょう?突出している情報が問題なのですから、基本的にはノイズを消すには周りの情報を使って輝度やカラー情報を平均化すればよいのです。
            ダストを消す「スポット修正」は周りに輝度やカラー情報を合わせることでゴミを消しています。ノイズを消すのはアレと基本的に違いはありませんが、画面に何百、何千、何万と存在する小さなゴミ(ノイズ)を消すのに手作業でこの動作を繰り返すのは相当に困難ですし疲れます。


            ノイズ消去・軽減、Photoshopのノイズ軽減画面そこでまとめて消去するために行うのが「ノイズを軽減」です。たいがいのノイズは「ノイズを軽減」で消去できます。「ノイズを軽減」にはいくつかのパラメータがあります。このうち重要なのは「強さ」と「カラーノイズを軽減」です。他は0のままで良いです。「強さ」は周囲のどの範囲までを対象に平均化するか、その範囲の広さを指定します。当然大きな数値の方が平均化される範囲が広くなる分、強力に除去できます。ですが、平均化するというのは実は「ぼかす」処理と同じようなことをしていますので、輪郭のあるものは、その輪郭があやふやになっていきます。ですから普通は強さ10なんていうパラメータは使いません。状況次第ですがせいぜい5か6ぐらいでしょうね。それでも消えないノイズは、シャープに残したい部分をマスク(=選択範囲外)してからかけましょう。私は「ノイズを軽減」である程度ノイズを平均化してから「アンシャープマスク」で輪郭の解像感を復元することが多いです。そのままの場合も多いですが。「アンシャープマスク」はうまく使えば細かなノイズを眠らせたまま輪郭強調できますので、この二つを組み合わせると結構強力です。できればCamera RAWの段階ではノイズ軽減はOFFにしておきたいですね。Camera RAWではぼかす量の効果が視認できませんので適当にぼかされて現像を自分でコントロールできません。
            もう一つの「カラーノイズを軽減」はRGBのカラー情報が周囲から突出しているザラザラした画面に有効なパラメータです。同じく高感度・長時間露光で発生しやすくなります。こちらはカラー情報の問題ですので、「色」を周囲となじませます。でも色を周囲となじませるということは全体に「彩度を落とす」(くすませる)ということと変わりません。使う場合には35%程度を上限にしています。それ以上必要な状況(例えば50%)では色落ちが激しくなりますので、最近は他の方法で対処しています。


            ノイズを消すとは言っても、実は他の問題にすり替えてごまかしているだけだということがお分かりいただけましたでしょうか。ごまかすということは「人間に認知されない状態」にするということです。ということは他にも方法がありそうですよね?

            ノイズ消去・軽減、「共鳴」ハワイ島まずもっとも効果が高い所から。夜景ではカラーノイズが多く発生します。カラーノイズでもっとも気になるのは何色ですか?私は「赤」です。撮影時にも現像時にもホワイトバランスというのがありますね。低い数値にすると青みがかり、高い数値にすると赤みがかります。あれ?気になるのは赤ですよね?でしたら、青みがかる数値になるようなホワイトバランスで撮影したり現像したりすれば良いのですね。画面が青くなりますので適用できるシーンは限られますが、例えばこの作品「共鳴」はこの方法でノイズ感を減らしています。


            ノイズ消去・軽減「驟雨」私がこの半年ほどよく使用する方法の一つに、「ぼかし」と「比較(明)」を使用するノイズ平均化があります。例えばこの作品「驟雨(しゅうう)」もこの方法で多くのノイズをごまかしています(他にもホワイトバランスでごまかしてもいます)。方法は簡単です。レイヤーをコピーします。コピーレイヤーに軽〜く「ぼかし」をかけます。その後、レイヤーの重ね方から「比較(明)」を選ぶだけです。これで周囲よりも暗いノイズが消えます。この方法の問題点は明るいノイズは残るということと、輪郭が甘くなることです。ですが、「芯」が残りますので、シャープ感が完全になくなるわけではありません。被写体は選びますが、それは全てのノイズ軽減方法に言えることです。適切なノイズ軽減を図ることが重要です。


            ノイズ消去・軽減「異世界への扉」富士山さて、では色を変えずに細かな点を残したい場合にはどうするか?ということで年末に悩んでいました。既存の方法は細かな点を消すことに力点を置いているためです。そこで原点に立ち返り何か参考になることがないかとPhotoshopを使ったレタッチの教科書を読んでいました。すると…使えそうなことがありました。RGBのチャンネルを使ってマスクする方法が記載されていたのですが、アルファチャンネルとして選択に用いるのに適切な濃淡を持ったチャンネルが存在するというものでした。「え?チャンネル毎にそんなに違うの?」と驚きました。さっそくノイズ処理に困っていた画像を開いてチャンネル毎に見てみました。「あれ?チャンネル毎にこんなにノイズ感が違うんだ。」私には衝撃でした。もうお分かりですね?RGBカラー全体に対してノイズ軽減するから輝度やカラー情報が完全に消滅するのです。特にひどいチャンネルだけに実行すれば他のチャンネルには影響しません。これがこの作品「異世界への扉」で試したノイズ軽減の方法でした。結果はご覧いただいた通りです。元の画像ですか?とてもヒドイもので作品化を当初あきらめていたぐらいです。:-o この方法の欠点は偽色が発生する可能性が高まることです。どの方法も万能ではありません。


            ノイズ消去・軽減「オリオン座大星雲」今回の本題?です。それでも残るノイズがあります。それが冒頭の「ムラ」です。この問題に対しては私もずっと悩み続けていましたが、ふとしたことで解決しました。それがこの写真の現像においてです。この写真の現像にはダークフレームを使って丁寧にノイズ除去をしていますが、カラー情報に乏しく、星雲のカラーを引き出すには彩度強調をするしかありません。ところが彩度強調するとカラーノイズが強まります。これに対しては、輝度とカラー情報をレイヤーとして分離して現像することにしました。輝度レイヤーである程度のトーンカーブを作って明暗の階調を作ります。一方カラーレイヤーは思い切り彩度強調をして輝度は気にしません。これらをレイヤーの重ね合わせ方でそれぞれ「輝度」と「カラー」を選べば良いのです。これで彩度強調とノイズ感の無さを両立できました。:-)
            ところがです。最後の最後に落とし穴が待っていました。あまりにもノイズがなさすぎたため、星雲を取り囲む明かりが漆黒に溶けていくグラデーションにおいて、その階調の差が境界として見えてしまったのです!う〜ん、これは新展開でした。ノイズがないことがアダとなるなんて…。それを解決するために行ったのが「ノイズを加える」という処理です。今まで何のためにあるのか分からなかった不思議機能でしたが、カラーノイズをあえて加えることで、輝度やカラーが見かけ上平均化され、境界が「認知上は」にじんで目立たなくなりました。


            ノイズ消去・軽減「灯影」この方法を「灯影(ほかげ)」でも使用しました。この作品ではS/N比が低い低コントラストな状態の画像が出発点でしたので、トーンカーブで輝度とカラーを整えていくとノイズが目立ってきました。そこで空や雪の部分をぼかしてノイズ軽減したのですが、その結果ムラが残りました。今回は、ここで輪郭をマスクしてややぼかした上で、さらにノイズを加えて輝度差・カラー差を減らしています。ノイズを消すのにノイズを使うのです!公開作品はリサイズしており元々分かりにくいとはいえムラが消えていますね。


            今回は「木を隠すには森の中」というオチでした。:-o
            人間の認知って面白いですね。:-)

            マジメなところ、どこまで現像で救えるかを知っておくと、撮影段階でどこまで無茶ができるかがハッキリと分かるため露出決めの自信につながります。そして現像技術が進歩するにつれて、さらに撮影時に無茶ができることになります。すると、いままでは作品化をあきらめていたようなことも写せるようになるのです。現像技術を磨くことをおろそかにはできない理由の一つです。:-)
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